――00年代中盤のプロレス冬の時代から現在に至るまで、実況を務めてきた清野茂樹アナウンサーが、女子のためのプロレスガイド『もえプロ(ハート) 女子のための"萌える"プロレスガイドブック』を刊行した。これほどの女子人気は、いつから起こっていたのか?
僕は2006年からプロレスの実況という仕事を始めたんですが、08年くらいまではつらかったですね。古いファンが一気にいなくなって、新しいファンが入ってくる前だったので、潮が引いて何も残ってない状態だったんです。試合で実況をしてると「今日は会場に清野さんの声が響いてましたね」と言われるような(苦笑)。それが変わってきたのが、2010年くらいからかな?会場に入ると「お客さん入ってるな」と感じる試合がだんだん増えてきました。
よく見たら女性のお客さんが多くて、「そうか、かっこいいレスラーを観にきてるんだ」と気がついたわけです。
プロレス人気復活は女子の影響が大きいです。今お客さんが入っているといわれる団体、新日本プロレス、DDT、ドラゴンゲートに共通するのは「女子に人気」というところですからね。僕自身長いことプロレスを観てきて「もうダメかなあ」と思った時期もありましたが、それを救ったのは女子の力だなというのは感じます。入り方はそれぞれバラバラで、お兄ちゃんやお父さんがプロレス好きだったとか、たまたまCMで見かけたからとか、いろいろです。新日本に関しては、やはり12年にブシロードが親会社になった影響は大きいと思います。その時期から1年間、『ラジオ新日本プロレス』(アール・エフ・ラジオ日本)という番組をやっていたんですが、そこに来るメールも新規ファン、女性からのものも多く「新しいファンがこんなにいるんだ!」と驚きました。それにその頃からレスラーもシュッとしているというか、ルックスの良い選手が増えてきました。キャラクターや技もわかりやすくなって、団体もそういう部分を打ち出すようになった。新日本は特に上の世代が一気に辞めた時期があったので、世代交代せざるを得なかったのだと思います。