人類のナゾは音楽で見えてくる! ブラックミュージック専門サイト「bmr」編集長・丸屋九兵衛が”地・血・痴”でこの世を解きほぐす。
『Uni5: The World's Enemy』
ボーン・サグスン・ハーモニー(発売元:ワーナーミュージック)
件の最終作『E.1999 Legends』は来年発売予定なので、ここでは今のところ最後の5人作、2010年のアルバムを紹介。その3年前の『Strength & Loyalty』がボンサグ本体3人に対して豪華客演過多で散漫な内容だったのに比べ、本体5人と身内ゲストで固めた本作は、地味ながらもソリッドな手応え。5人揃えばこそ、の歌心応酬も美しい。
屌という漢字がある。これは、「クール」「オーサム」「かっこいい」を表す台湾俗語だ。
しかし! 本来はこれ、男性の陰部を意味する漢字だったという。けしからんことに、それが転じて、なぜか「かっこいい」の意味になり、今では原義がほとんど意識されずに頻用されているようだ。なんて無茶な……とは思うが、似たような話があるのだよ。英語でも。
多くの哺乳類が陰茎に骨を備えている。実は、霊長類も例外ではない。なのに、なぜか我々ホモサピエンスだけは、その部分が骨で支えられていないのだ。嗚呼、それなのに骨と見紛うがごときハードな状態となったそれ。そんなブツを、敬意を込めて彼ら(主にアフリカン・アメリカン)は呼ぶのだ、「ボーン」と。
この”bone”は、動詞として「セックスする」の意味にもなっているが、それ以外にマリファナも表す。つまりヒップホップ観点で非常に有用な単語であり、「かっこいい」というニュアンスがあるのだ。
掛け言葉をすべて汲み取るのは無理だが、サラッと意訳するならば……そのグループ名は、「仲良し スケベ悪党軍団」とでもなろうか。そんなボーン・サグスン・ハーモニーについて語ろう。