"カストリ雑誌"などと揶揄されながらも魑魅魍魎が跋扈する芸能界において、一服の清涼剤として機能するオヤジ系実話誌の数々。普段は表立って語られないこれら愛すべき実話誌(一般週刊誌含む)の下世話なゴシップを、芸能評論家・三杉 武がランキング形式で解説する、実話誌時評――。
1位 「ベッキー 神奈川県警『ブラックリスト入り』の悪感度NO.1行状」(「アサヒ芸能」7月17日特大号)
2位 「絢香 ライブイベントで『あんた、バカでしょう』と暴言連発」(「アサヒ芸能」7月17日特大号)
3位 「衝撃ドエロ入手! 後藤真希女性器見え写真流出」(「週刊実話」7月24日号)
4位 「スクープ撮 ビートたけし“100億円の愛人”『カミさんに全財産渡して一緒になる』」(「週刊文春」7月17日号)
5位 「渾名は『発作マン』だった『号泣県議』モンスター事件簿」(「週刊新潮」7月17日号)
「アサヒ芸能」7月17日特大号
4年に1度の祭典であるサッカーW杯ブラジル大会が幕を閉じた。普段はそれほどサッカーに対する熱はないが、キャプテン翼世代の宿命というべきか、「4年に1度」という響きも手伝い、連夜のテレビ観戦。徒然なるままに、ほとんどすべての試合を観ることとなった。
素人ながらも正直、スポーツマスコミが煽っているほど日本代表の置かれた立場が楽観的なものであるとは思っていなかった。
グループリーグを突破できたら儲けものくらいに考えていたが、結果はかくの如し。平安時代から蹴鞠に興じていた日本人だが、パス技術の面でも海外の選手たちに比べるとだいぶ見劣りしていた。
そもそも継続性が重視される蹴鞠にゴールはないので、いわんや“決定力”をやである。そういった由無しごとが心にうつりゆく一方で、優勝したドイツしかり、アルゼンチンしかり、オランダしかり、攻守が一瞬にして切り替わる近代サッカーのスピーディーな展開には驚かされるばかりだ。
とはいえ、かくいう我らがマスコミ業界も、まさにスピードがモノをいう時代。佐村河内守氏しかり、小保方晴子氏しかり、ASKA氏しかり、塩村文夏氏しかり……、一昔前ならば半年近くは話題性を保持していた人物が、瞬く間に過去の人となっている。人も話題も、ずいぶんと旬が短くなったものである。
そうした中、現時点(※このコラムを書いている瞬間)で時の人となっているのが、号泣会見で話題をさらった兵庫県議の野々村竜太郎氏だ。今週は他の雑誌もこぞって野々村県議の記事を掲載していたが、単純に内容の深さとネタの多さで「週刊新潮」の記事を上位とした。
続く4位は、「週刊文春」の「スクープ撮 ビートたけし“100億円の愛人”『カミさんに全財産渡して一緒になる』」。
移ろいやすい芸能界において、30年以上もトップに立ち続けるお笑い界の巨魁に、突然降って沸いた愛人疑惑。今さらたけしに愛人がいると言われたところでさして驚くことでもないが、35年以上も連れ添った夫人との離婚も視野に入れているとなれば、話は別だ。
過去の一連のたけしの不倫騒動を振り返ってみても、さすがに離婚の可能性は低そうだし、実際にたけし本人はレギュラー出演する番組で離婚を否定。「文春」にしては少々煽りが過ぎる観もあるが、バブル時代に咲いた今はなき「週刊宝石」のようなバブル臭のする“100億円の愛人”という見出しも加味して4位とした。
3位には「週刊実話」の「衝撃ドエロ入手! 後藤真希女性器見え写真流出」をピックアップ。どんなに時代が流れても、頑ななまでにスタイルを変えない、田舎町の中華料理店のような佇まいがなんとも愛おしい同誌。
記事よると、6月に約2年半ぶりに芸能活動を再開した後藤のものとみられる“ヘア&性器チラ見せ疑惑写真”が流出しており、それは復帰後の「ヘアヌード&初濡れ場」披露決意を秘めた後藤のメッセージだった可能性すら囁かれているという。
流出した写真は活動休止前に発売された「go to natura…」のワンカットとみられ、しかもそのカットには「性器の陰影が映っているとの分析すらあり、“ドエロすぎる1枚”と話題になっている」と続く。
そのうえで、写真が流出した背景として、「今回の流出は、後藤の復活を妨害しようとする勢力によるものとの見方が強い。一方で、“実はここまでの写真を撮れる”とアピールするため、後藤に近いサイドが“仕掛け”としてあえて流したという可能性も否定できない」と芸能関係者は語る。
そのうえで、水面下で後藤にヘアヌード写真集の発売情報や初セックス濡れ場のロケ情報が飛び交っていることを明かし、最後は「まさに全裸マシーンになって!」とエールを送っている。
今回の記事も“化学調味料”をたっぷりと効かせて、ギトギトの油で炒めまくった焼き飯のごとき香ばしい仕上がりだが、たとえほとんど具は入っていなくても、何故か食欲をそそられてしまうのは老舗の貫録と言うべきか、はたまた客側の懐古主義的幻想か!? ともあれ、こってり系に幸あらんことを。
2位は「アサヒ芸能」の「絢香 ライブイベントで『あんた、バカでしょう』と暴言連発」だ。
昨今とくにオヤジ路線をひた走る同誌が、珍しくオヤジと縁の薄そうな女性アーティストを取り上げているかと思い読んでみると、お得意の悪評ネタが炸裂。
今年2月のソチ五輪で、フジテレビ系列の中継テーマを担当した絢香は関連イベントに出席したのだが、会場となったアイスリンクでのリハーサルの時、機嫌を損ねて「もう帰る!」とわがままぶりを連発したとか。
さらに、昨秋に行われた、当時CMソングを提供していたチョコレート菓子「キットカット」のイベントでも、「あんた、バカでしょう」や「あんたのせいで集中できない」、「失敗したら責任とれる?」、「もう帰ろうかな」などと関係者や運営スタッフに暴言を吐きまくっていたという。
わざわざ同誌がメーンとなるオヤジ読者層と縁の薄い絢香を取り上げている点や記事のディテールを加味すると、かなりリアリティーの高い情報のようにも思えるが…。新“女王様”の誕生か!?
そんな中、今週の1位は同じく「アサ芸」から「ベッキー 神奈川県警『ブラックリスト入り』の悪感度NO.1行状」。
持ち前の優等生キャラでいまだにCMなどでも重宝されている一方で、一部からは「鼻につく」という意見も多いベッキー。
最近では、「女性セブン」が報じた佐藤健と森カンナとの深夜デート報道に対し、「さらりと言わせていただくと…3人で歩いていたんだけど なぜか1人切り外され 深夜デートしていた風の記事になり それ風のことが書かれてしまったという感じですね」と、当事者でもないのに熱愛を否定して話題を集めた。
正義感が強いのか、はたまたお節介なのか、はたまた目立ちたいのか、狙いはよく分からないが、完全にメンツを潰された「女性セブン」とベッキーの今後の抗争に思いを巡らせていたら、何故か「アサ芸」が勇躍参戦してきた格好だ。
TBSの番組で共演した「ブラックマヨネーズ」の小杉竜一がトークに割って入り、話を横取りするベッキーにマジ切れしたエピソードや関西テレビの「にじいろジーン」で共演する所属事務所の後輩の佐藤唯に対し、「あなたがテレビに出られているのは、私のおかげなんだから、感謝してよね」と嫌味を放ったというエピソード、SHELLYをはじめ、同じハーフタレントとの共演をNGにしているエピソードなどを暴露。
そのうえで、全国紙社会部記者による「車の運転が非常に荒くて、スピード違反や駐車違反で反則切符を切られたことは2度、3度ではありません。『何で私なのよ! 他にもいるじゃない』『ちゃんと仕事しなさいよ!』と警察に食ってかかり、あげく『Shit!』(クソったれ)と罵詈雑言を浴びせたことも…。(以下略)」といったコメントを紹介し、実家のある神奈川県の警察所轄内では本名がブラックリスト入りしていることにも触れている。
これが事実なら、まさにイメージダウンは必至。絢香の記事と同様、オヤジとは縁遠い存在であるベッキーをわざわざ取り上げた時点で、かなりネタには自信があっての記事化とも思えるが…。
ベッキーVSマスコミの仁義なき戦いの行方がなんとも気になるところだ。
三杉 武(みすぎ・たけし)
大学を卒業後に全国紙で記者を経てフリーに転身。記者時代に培った独自のネットワークを活かして、芸能評論家として活動。週刊誌やスポーツ紙で独自の視点からコメンテーターを務めるほか、スクープ記事も手掛けている。アイドルやアニメ、TRPG、プロレスなどのサブカルチャーにも造詣が深い。2012年には『AKB48総選挙2012公式ガイドブック』にて、10論客として第4回AKB48選抜総選挙の予想および解説を担当。翌2013年にも『AKB48総選挙2013公式ガイドブック』にて、8論客として、第5回AKB48選抜総選挙の予想および解説を務める。