――現在、大阪・梅田駅周辺などを中心に、街中で見かける「宝塚100周年」のポスター。そのスターたちのヘアメイクを担当しているのが、元花組男役・CHIHARUだ。現役時代は矢吹翔の名前で活躍し、同期は元月組トップスターの紫吹淳。多くのOGたちが芸能界に進み、表舞台に出続ける中、あえて裏方に回った彼女が語る宝塚への思いとは?
(写真/後藤秀二)
──宝塚退団後も女優の道に進むOGが多い中、CHIHARUさんは、なぜヘア&メイクアップアーティスト(以下、ヘアメイク)の道に進まれたのでしょうか?
CHIHARU(以下、C) 小さい頃からメイクが好きで、母の口紅とかを塗って遊んでいるような子どもだったんです。宝塚に入団してからも、舞台メイクはみんな自分でやるんですね。そこで、「この役ならメイクはこうしてみよう」って、役作りとしてのメイクを意識していくようになりました。それがどんどん楽しくなって、メイクのすごさ、偉大さに魅せられて……宝塚には19年いましたが、実は在団10年目くらいから、退団後はヘアメイクになろうと決めていたんです。在団中から通信教育でヘアメイクの勉強をして、資格も取りました。
──舞台に立ちながら勉強もされてたんですか! 両立は大変だったのでは?
C でも、ちょうどその10年目の頃に、雪組から花組に組替えがあったんですけど、宝塚での活動が中途半端になるのは嫌だったので、「自分の名前が残るまではやろう」と決めたんですよ。それから、辞める時期を意識し始めた17年目の頃、ちょうど花組のトップスターが変わりまして。後輩とも仲が良かったので、「この組が安定するまでは、自分が支えよう」と思って続けていました。そしたら今度は、「劇団の管理職を務めてもらえないか?」と打診をいただいて……迷いましたが、「ここでその打診を受ければ、後10年は辞められない」という思いから、「実はヘアメイクになる夢があるので、辞めさせてください」と、劇団にお願いしたんです。