――前章ではソシャゲ業界関係者の座談会をお届けしたが、ここでは近年起こった3つのソシャゲにまつわる事件を振り返ってみたい。
まつもとあつし『ソーシャルゲームのすごい仕組み』 (アスキー新書)
【FILE 1】2012年読売新聞がGREEを追い込んだコンプガチャ問題
12年5月、ソーシャルゲームで快進撃を続けてきたDeNA(モバゲー)、GREEが相次いで、コンプガチャの廃止を発表し、それまで無敵だったソシャゲ業界に激震が走った。
コンプガチャとは、硬貨を入れ、ダイヤルを回すと、景品が入ったカプセルが出てくる「ガチャガチャ」的なくじ引き的要素。あらかじめ決められた希少価値の高いアイテムを取得できる組み合わせを目指してカードを引く課金システムだが、その組み合わせになる確率は低く、カードを揃えるために高額請求されるトラブルが相次いだ。
このため、消費者庁長官が「(コンプガチャ問題につき消費者庁も)注意深く見ている」と発言。「消費者庁が中止を要請へ」と読売新聞がスクープし、DeNA株、GREE株はストップ安。規制強化の高まりに各社、コンプガチャの廃止を発表し、12年11月には自主規制団体としてソーシャルゲーム協会も設立した。こうした動きは「売上高利益とも前年同期比3倍増」と予想していたGREEにとって大打撃。「社内コンプライアンスが厳格化、それまでは不要だった稟議書が必要になり、自由な社風が一気に息苦しくなってきた」(業界関係者)。
コンプガチャ問題をスクープしたのは警察寄りとされる読売。「読売の記事は警察が天下りルートを確保するための自主規制団体を作らせるための布石だったのではないか」とあるジャーナリストは見る。
【FILE 2】2013年 モンストの登場で一発逆転のミクシィ
「ミクシーはSNSとしてシステムの改悪とスマホブームの時代の波に乗り遅れたことが痛かった。頼みの綱のゲームも、牧場育成シミュレーション『サンシャイン牧場』(開発・運営Rekoo Japan 09年)のヒットを飛ばすものの、その後、不振が続いた。13年6月には創業者であり最大株主である笠原健治氏から、朝倉祐介氏に社長が交代し、大リストラを敢行。自己都合退職させるための追い出し部署を作るなどサンザンな印象だった」(業界関係者)
一時は上場以来初となる赤字の連結業績予想を発表したミクシィだが、ここにきて一気に息を吹き返し始めている。