チケットは完売?韓国音楽事情の今
PSYが待望の初来日を果たすということであらゆるメディアで大々的に報道された今回のコンサート。売上不振、アーティストと事務所/レーベルとの確執、訴訟問題、メンバー脱退騒動、整形疑惑――明るい報道が何ひとつされない韓国音楽シーンにおいて、当コンサートは低迷の巻き返しを図れるか注目されている。
PSYと同じくYGエンターテインメントに所属する2NE1。新作『CRUSH』はビルボード・アルバムチャートで61位を獲得、韓国人初の快挙となった。
2011年に人気の絶頂を迎えた後、低迷の一途を辿っているK-POP。KARAや少女時代、BIGBANGなど、ブームを牽引した人気グループのセールスも、徐々に右肩下がりだ。音楽業界関係者はK-POPシーンの現状を次のように語る。
「2~3年前は日本で開催される大型フェスにK-POP勢が招聘され、集客にもつながっていましたが、去年はまったく冴えなかった。世界的に音楽性の高さが買われているK-POPですが、日本のファンはヨン様フィーバーと一緒、ただのミーハーなファンが多い」
K-POPブームの先駆け的存在であるBoAは、今年になってニューシングル「Shout It Out」をリリースしたものの、楽曲の評価でなく、整形に失敗したような顔面劣化しか話題にならず、近年では日本でもっとも成功したといえるKARAも、今年1月にグループの笑顔担当だったメンバーのニコルが正式に脱退。KARA【1】の問題については、当人たちと本国の事務所であるDSPメディアとの間に、非常に複雑な事情があるという。
「KARAが所属していたユニバーサルミュージックのスタッフは、事務所問題が報道されて以降、彼女たちの状況に触れないようにしていましたね。首を突っ込みたくないというのが本音だと思いますが、そもそも直接の担当以外は、ほとんど情報が下りてこなかったようです。それをいいことに、スポーツ紙などは書きたい放題。実際に所属事務所と脱退メンバーの対立は深刻で、日本サイドとしては巻き込まれたくないという意識が強かったんでしょうね」(音楽関係者)
『PSY』
1977年生まれ、韓国出身のアーティスト/プロデューサー。12年に発表したシングル「江南スタイル」が世界的ヒットを記録。
そんな中、4月12~13日の京セラドーム大阪、5月3~4日の東京ドームで、韓国の大手芸能事務所、YGエンターテインメントによるイベント【2】『YG Family World Tour 2014 -POWER- in Japan』が開催されることが先頃アナウンスされた。いまだ根強い人気のBIGBANGや、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムが惚れ込んだ4人組女性グループ、2NE1といった所属アーティストが参加するが、注目すべきは、あの特徴的な乗馬ダンスで一世を風靡したアーティスト、PSYの初来日だ。
PSYといえば、「自ら創作することを学びたい」という意欲からボストン大学を退学し、バークリー音楽大学に再入学したことでも知られ、シングル「江南スタイル」(12年)で韓国人アーティスト史上初の米ビルボード・チャートで2位を記録したラッパーだ(全英1位、のべ10カ国のチャートで首位を獲得)。同曲のミュージックビデオの再生数は――水増し疑惑が取り沙汰されながらも――約19億回以上の再生数を突破。
「江南スタイル」に続くシングル「ジェントルマン」(13年)のミュージックビデオの再生回数は約6億回以上を記録しているが、前作ほどのヒットとはならず、以降リリースはストップしている。それゆえ世紀の一発屋などと揶揄されているが、「江南スタイル」リリース当時は、少なくとも韓国・米国をはじめとする世界各国で、一躍人気者になったことには違いない。しかし、日本ではどうだろう。当時、世界を騒がす楽曲であったにもかかわらず、CDのリリースはおろか、デジタルでの配信にも漕ぎ着けることができなかった(現在は発売している)。その背景には、嫌韓問題もあったのではないか、と推測されているが――。