――ここまで、洋画におけるエログロ映画の現状を追ってきたが、では、邦画の現状はいかがなものなのか? 角川で数々のエログロ映画を担当してきた、二宮直彦氏に話を聞いた。
少女が陵辱されるシーン。(『甘い鞭』場面写真) (c) 2013「甘い鞭」製作委員会
ここ数年、角川が手がけたエログロ要素の入った映画といえば、壇蜜さん主演の『わたしの奴隷になりなさい』や『甘い鞭』【1】、『フィギュアなあなた』などがあります。僕たち自身は、そのような映画のジャンルを、エログロではなく、クリエイターの世界観や作家性のある「文芸エロス」と呼んでいます。後ろの2作については、『天使のはらわた』の石井隆監督を迎え、エロスや過激さに満ちた世界観を映像化することができました。
ただ、これらの作品については、劇場興行の面では惜しまれることもあります。R-15、R-18という制限の中で、宣伝における露出が極端に減ってしまうのです。みなさんに作品を認知してもらう機会が減るということは、興行的には痛手です。まず、R-15だと少年誌への広告掲載ができません。また、一概にはいえませんが、朝の情報番組などでは紹介してもらいにくい。さらに、R-18指定を受けてしまうと、テレビでの番宣や週刊誌などへの広告掲載が、ほとんどNGになってしまうのです。