――ここでは原作もの映画・アニメから特に話題の9作を厳選し、映画業界に精通する面々に、試写や予告編、現場のうわさ話などから、今年一番ヤバそうな映画を勝手に予想してもらった。
映画ライター
よしひろまさみち
女性ファッション誌「sweet」(宝島社)をはじめ、数多の雑誌で連載を抱えるオネェ系ライター。映画のほか、音楽・グルメなどにも精通。「シネマトゥデイ」編集部
森田真帆
月平均2400万PVを誇る映画専門サイト「シネマトゥデイ」の美人記者。洋邦の映画から、ちょいワルなVシネマまで守備範囲はかなり広い。本誌ライター
鈴木長月
実話誌の編集を経てフリーに。映画とプロ野球をこよなく愛する雑文家。なぜかファッション誌「LARME」(徳間書店)で映画コラムを連載中。
3月1日公開
『魔女の宅急便』
監督:清水崇/出演:小芝風花、尾野真千子、新井浩文ほか/配給:東映
かの有名なジブリのアニメの実写化……ではなく、児童文学家・角野栄子による原作小説の実写版。主演の小芝風花の演技が、とにかく良いとの評判だが……。
[よしひろまさみち氏]◎
いくら原作は別物とはいえ、観る側にとってはやっぱりアニメありき。ジブリが1ミリも動いてくれなかった時点でヤバいよね。肝心のVFXにコストをかけられないなら、最初からやらなきゃよかったのに。
[森田真帆氏]○
ホラー畑の清水さんが、あの題材をどう撮るのかには興味津々。とはいえ、『寄生獣』と監督を入れ替えたほうが良かったんじゃないかという気も……。そもそも実写化のニーズがどこにあったかが謎ですが。
[鈴木長月氏]◎
予告編でも大いにファンを落胆させたVFXが、とにかく残念。「東洋のどこか」などとしつつ、コリコの街がゴリゴリの日本なのもいただけない。キキ役・小芝風花の新人らしからぬ演技力が唯一の救い。
第一章 4月5日公開
『THE NEXT GENERATION パトレイバー』
監督:押井守/出演:真野恵里菜ほか/配給:松竹
押井守がアニメを監督し、ゆうきまさみがマンガの作画を担当する大人気メディアミックス作品がついに実写化。既存作品のリメイクではなく、2013年を舞台にしている。
[よしひろまさみち氏]○
一番の不安要素は監督の押井さん。あの人の実写って、どれも当たってないからね。コアなファンのリピートに賭けるって意味ではエヴァとも同じだけど、エヴァよりコンテンツとして弱いのがネックよね。
[森田真帆氏]
押井さんの実写はよくわからない仕上がりになることが多いだけに、今回もそのあたりが心配。ファンにとっては、アニメで整備士のシゲさんを演じた千葉繁さんが同じ役で出演するってだけでも胸アツなんだろうけど。
[鈴木長月氏]
本来は1本で勝負すべきところを、7章に分けて小出しにし、長編版も来年GWに別個で公開と、あざとさ爆発のリピート商法っぷりがすがすがしい。ライトユーザーに背を向けたことが裏目に出ないことを祈るばかり。
4月26日公開
『テルマエ・ロマエⅡ』
監督:武内英樹/出演:阿部寛、北村一輝、上戸彩ほか/配給:東宝
人気マンガ『テルマエ・ロマエ』の実写化第2弾。それほど期待されていなかった、一作目がまさかの興行収入60億円を突破し、満を持しての登場となっている。
[よしひろまさみち氏]
作品としての良し悪しは別にしても、テルマエのひとり勝ちじゃないかってぐらいヒットはカタいはず。何より原作が面白いし、阿部ちゃんもハマってる。前作との相乗効果で原作が世間に浸透したってことも大きいよね。
[森田真帆氏]
きっとまた番宣をバンバン打つだろうし、東宝には作品をヒットさせるノウハウがどこよりもある。だからコレがコケることはまずないかな、と。万人ウケする題材だし、原作モノにありがちな“いまさら感”もないですしね。
[鈴木長月氏]
人種の壁を顔の濃さという一点突破で乗り越えた力業は、ある意味、発明。公開日を「よい風呂の日」にするなど、真顔でフザける遊び心も好感が持てる。男目線でいえば、人妻となってからの上戸彩の色気もたまらない。