――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!
中森明菜『ドラマティック・エアポート-AKINA TRAVEL SELECTION-』(ワーナーミュージック・ジャパン)
元旦は毎年、スポーツ紙のスクープ合戦が展開される。
「週刊誌が年末発売の合併号でお休み。日頃は週刊誌発のスクープ記事に頼る傾向の強いスポーツ紙にとって腕を試される期間だけに力が入る」(スポーツ紙記者)といわれている。
今年はスポーツ報知が2本のスクープを掲載した。1本は「鈴木京香と長谷川博己の今春結婚」だが、特に新鮮さはない。2人の仲はこれまでも多数報じられいるし、すでに同居している事実も女性誌によって報道されている。さらには、昨年秋、みのもんたが『朝ズバッ!』内で、「お蕎麦屋さんで会ったけど、いい夫婦だね」と発言したほど、夫婦然とした生活をしている仲だ。
このままいけば結婚は誰もが予想できること。報知の記事も「今春にも」というだけで根拠はない。普通、芸能記事は現場の取材報告を上のデスクが聞き、記事にできるか否かを判断する。すでに熱愛が報じられている2人なら、具体的にいつどこでどのような形で結婚するかがわかってこそスクープにつながる。昔はそう教わったものだ。逆に破局でも記事になるが、それも根拠が必要。
「今春とか、ひどいときは年内にも結婚と報じることもある。執行猶予が1年も先というのはいかがなものか? 途中で別れても問題なく破局と報じることができる」(前出・記者)
だが、筆者がここで問題にしたいのは、裏一面で大きく報じた「中森明菜結婚」のスクープ記事だ。
相手は都内の40代の神主だという。
「2010年に知人を介して知り合い、交際に発展。昨年秋に結婚の予定だったが、明菜が体調を崩したことで延期。年内にもゴールインする」という内容。「年内結婚」と1年の猶予があるのは、具体的な情報がなく、無難なところで年内と予想しただけだろう。だが、気になる部分もある。神主という以外、素性はわからないものの(他紙にわからないよう隠している可能性もあるが)、昨年秋に結婚予定だったという話。
まったくノーマークどころか、噂すらなかった相手との結婚。昨年秋といえば、マスコミはこぞって明菜の復帰話を伝えていた。その背景には、「『あまちゃん』(NHK)人気で小泉今日子が注目され、同期の明菜の動向までもが注目されたことがある。すでに2年以上休んでいる明菜だが、根強いファンは多く、明菜の歌を聞きたいという人は絶えないだけに、明菜の近況は欠かせないものになっていた」(テレビ関係者)というのもあり、「復帰できるか、できないか」というのが報道の本筋だった。さらに女性誌は明菜の同居生活をも伝えていた。
都内のマンションに公私にわたって支えているマネージャーとの同居生活は写真もあって十分に説得力のあるものだった。大手事務所に所属していた時代、歌手として破竹に勢いだった明菜は、ワガママでも有名だった。
「無理難題をマネージャーに押しつけていた。車で送ると途中、『あの店に寄って』と通り過ぎた店に寄るように指示。普通なら無理だが、明菜の言うことは絶対。車をバックで走らせたり、逆走して店によるのが当たり前。こんな明菜に嫌気がさし、結局、マネージャーは何人も交代した」(芸能関係者)
やがて明菜は独立したが、そこから苦難の道が始まる。著者は芸能プロ幹部からこんな話を聞いた。
「明菜の歌は魅力があるし、すぐに消えるアイドルとは違う。ただ、彼女のワガママを押さえ、スムーズに仕事をさせるにはどんなに腕利きのマネージャーでも無理。明菜を彼女にするくらいの男がベスト。明菜も好きな男の話なら聞くはず」
事実、独立後最初に付いたマネージャーは六本木の黒服だったE氏だった。マネージャーが彼氏になったのではなく、彼氏がマネージャーになっただけだった。男女の仲が切れればマネージャーとしての関係も終わる。E氏とは別れ、次に付いたのが件の同居男性と聞いていた。
E氏との関係からして新たなマネージャーも彼氏だと思っていた。それが、同居する男性と付き合いながら、別に神主という恋人がいたとなれば、二股というところか。もっとも、同居といっても複数の部屋を持ち、マネージャーとはあくまでも仕事の関係だけというなら神主が恋人でも不思議はない。報知の記事は同居を伝えられている男の話には一切触れていない。
「神主の話が事実なら大スクープですが、まったくの誤報という可能性も否定できない」(芸能デスク)といわれる明菜の結婚話。すでに復帰話も報じられる彼女は、今年最大の注目歌手になりそうである。
ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演