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【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

美空ひばりの急逝に駆けつけたゲイバーのママ 島倉千代子の訃報と演歌歌手のプライベート

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!

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島倉千代子「人生いろいろ/鳳仙花」

 11月8日、肝臓がんで亡くなった島倉千代子さん(享年・75歳)も晩年は孤独だった。"離婚、中絶、借金"と波乱万丈な人生だったことを、亡くなって初めて知った。どんなに稼いでも幸福を買うことはできないことを女性演歌歌手の人生から垣間見ることもできる。とりわけ、3度の「中絶」は衝撃的だった。

 昔から芸能人の中絶についての話はよく聞く。

「青山に芸能人専門の中絶を請け負う産婦人科がある」
「体調不良で1カ月休んでいる間に、本当は中絶していた」

 そんな話がまことしやかに流れていた。中絶や整形など身体に関わる話は当人が口にしない限り記事にはできない。業界仲間のヨタ話で終わる。また、「あの歌手は○○の愛人」「すでに子供を生んでいる」といった類の話も演歌ならではの話として囁かれる。

 それにしても女性演歌歌手の私生活は、わからないことが多い。わからないというより、詳しく調べないというほうが適切かもしれない。調べるとしたら特別な動きがあったときぐらいだ。

 以前、坂本冬美が1年の休業宣言をしたことがある。あまりに唐突な休業に、「結婚するのでは」「いや、出産という噂もある」といった話まで飛び交った。

 筆者は坂本の実家のある和歌山まで取材に行ったことがあるが、まるで雲をつかむような話。これといって現状や足取りをつかむことができず、演歌歌手の取材の難しさを痛感した経験もある。

「女性演歌の人は他の歌手やタレントのように夜の街で派手に飲み歩くことはない。生活も地味で、私生活は謎めいている。常に悲しい歌を歌っているのに、私生活が派手だと、歌の説得力に欠けてくる。むしろ謎めいていることを"よし"としている」と音楽関係者が話してくれた。

「といって、恋をしていないわけではない。島倉さんも言っていたように、常に恋は必要。恋をすることで声も艶っぽくなるし、歌に感情移入もできる。それもハッピーな恋よりも不倫などの悲恋が似合う。無意識のうちに見つからないように密かに恋愛を楽しんでいるのだと思います」(同)

 事実、「フライデー」(講談社)さえも演歌歌手のデート現場を押さえたケースはほとんどない。テレビでは常に着物姿の演歌歌手。普段着で化粧を変えていれば、なかなか一般人にはわからない。著者も世田谷区三軒茶屋のとある店でよく香西かおりさんと遭遇したことがあったが、後に店主に言われて香西さんと知ったほどだ。

 結局、着物姿のインパクトが強く、私服になった演歌歌手を見極めることさえ難しい。タレントのようにサングラスなどで変装しなくても、まったくわからない。また、演歌の人が遊んでいる姿に遭遇しない理由のひとつに地方営業がある。全国津々浦々、キャバレーから公民館まで場所を問わず歌ってまわるのが演歌のお仕事。「テレビに出るよりよっぽど稼ぎになる」と無名に近い演歌歌手から話を聞いたことがある。

「歌番組1本出て10万円稼ぐのに、丸1日費やさなければならない。営業なら1日何件でも店を回ることもできる。テレビは地方営業の仕事を取るための手段。テレビである程度、顔を売ってヒット曲があれば、一生食べていけるのが演歌の世界です。役者は団体競技ですが、歌手は個人競技なのも有利。いざとなればCDの"手売り"もできます。それに、五木ひろしさんのような大御所だって、若い頃はみんな苦労していた。そうした下積み生活があるから怖くないのです。ただ、羽を伸ばすのは地方に行ったときです。特にキャバレーは酔っ払いのオヤジが相手ですから、まともに聞いてなくとも、酔った勢いでチップが弾む。夜もホステスが相手してくれる。女に不自由することはありません。女性歌手もそれなり地方では楽しんでいるはずですよ」

 私生活が謎めいていた分、亡くなってからわかるのが演歌歌手の私生活。自殺した藤圭子さんも然りだ。古くは美空ひばりさんもそうだった。

 実は、ひばりさんが亡くなったとき、著者は目黒の自宅に4番目に駆けつけた。夜中の訃報だったことと、その晩、たまたま飲んでいたこともあり、ポケベルの知らせで目黒の自宅に向かった。玄関の先頭に居たのは、六本木の有名なゲイバーのママだった。仕事柄起きていたのだろうが、ひばりさんとゲイバーが結び付かなかった。ひばりさんがプライベートで愛用していた店だと後で知ることになったのだが、座る席も決まっていれば、飲むお酒は高級ブランデー。ゲイの人たちとわいわい騒いでストレスを解消していたという。

 演歌歌手がマスコミに取り上げられるのは亡くなったときばかりでは、あまりに寂し過ぎる。生きているうちに私生活も芸能マスコミに取り上げられるのも一興だと思うのだが。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。

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