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【premium限定連載】芸能評論家・三杉 武の「実話誌」ゴシップ大賞【3】

「北川景子の性器の具合を知ってるか?」 人気女優のハメ撮り写真流出のウソ・ホント

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"カストリ雑誌"などと揶揄されながらも魑魅魍魎が跋扈する芸能界において、一服の清涼剤として機能するオヤジ系実話誌の数々。普段は表立って語られないこれら愛すべき実話誌(一般週刊誌含む)の下世話なゴシップを、芸能評論家・三杉 武がランキング形式で解説する、実話誌時評――。

1位 官能スクープ 北川景子「どて高性器」ドアップ写真集(「週刊実話」)
2位 誌上公開『八重の桜』女優乱交パーティー全裸SEX濡れ場(「週刊実話」)
3位 番長清原が猛毒暴露した「桑田金属バット襲撃」計画(「アサヒ芸能」)
4位 エロ暴走がとまらない!! 「女は子宮で考える!」と啖呵をきった長澤まさみ「シミつきパンチラ解禁」事件(「週刊大衆」)
5位 明菜 スクープ 超ひこもり「同棲」撮った! 姿消して3年。恋人マネジャー所有マンションで、1ヵ月外出ゼロ生活(「女性セブン」)

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『北川景子1st写真集「27」』(SDP)

 毎年この時期になると話題になるのが暮れに発表される「流行語大賞」。

 今年は、予備校教師・林修氏の「今でしょ!」やTBS系ドラマ『半沢直樹』の「倍返し」、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ!」、滝川クリステルが東京五輪のプレゼンテーションで口にした「お・も・て・な・し」などが有力候補と目されている。

 これに、「アベノミクス」や「二刀流」などが続く形になりそうだが、ここに来て急上昇しているのが「誤表示」だ。いわゆる高級ホテルやレストランなどの料理のメニューに使われている原材料となる食品の偽装の実態が次々に明らかにされ、大きな波紋を広げている。週刊誌や実話誌なども大々的に報じているわけだが、正直ここまでヒドイとは……。

 格安回転ずしなどのネタについては「週刊文春」や「アサヒ芸能」などが再三特集を組み、以前から伝えられてきたが、内心では「安いのにはそれなりの理由があるんだろう」と感じていた。だが、世界に名をはせる高級ホテルのここまで悪質な食品偽装には、あきれてものが言えない。

 と同時に、これまで食通を気どってテレビ番組や雑誌で"上から目線"で料理のなんたるかを講釈してきた、グルメライターや放送作家などはこの事実をどう受け止めるのだろうか? それなりの"メリット"を享受し、あえて偽装と知りつつ店や料理の宣伝に協力してきたのか、それとも単に舌がバカなのか……。自称食通たちがこの現状をどう語るのだろうか?

 さて、すっかり食品偽装の話題に押され気味の芸能界。みのもんた関連もさすがにネタ枯れなのか露出は少なく、とくに目立った記事はなかった。そういうわけで、今回は記事の中身よりも見出しに重点を置いて評価した。

 1位は「実話」の「官能スクープ 北川景子『どて高性器』ドアップ写真集」。

 記事の内容自体は、人気女優の北川景子にヘアヌード写真集の出版の話が浮上しているというもの。前半部分はドラマ出演の近況や最近出版した写真集の情報などほぼプロフィールで、そこから11月に公開される映画『ルームメイト』の話題となり、共演する深田恭子との濡れ場に言及。

「2人にとって初体験となったレズシーンは双方とも陰部が濡れるほど感じたようです。撮影現場では、舌を絡め合うほどのディープキスを交わしたそうです(以下略)」との映画関係者のコメントを紹介している。

 その後、ライバル女優(?)の綾瀬はるかや堀北真希に対抗するため、ヘアヌード写真集に挑戦するようだという流れを展開し、写真集プロデューサーが推定ギャラ1億5000万円と評するとともに、「ヘアはけっこう剛毛で性器までビッシリ生えているそうです。しかも、ドテ高。"剛毛性器"を見ればすごいウリでしょう(以下略)」と北川の性器に関する情報を暴露。

 最後は、某ネットライターによる「最近ハメ撮り写真もかなり流出している。写真集よりいち早く、本物の性器写真が出回っているという評判もあります」というコメントを使い、"ハメ撮り写真集もいい"というフレーズで締めている。

「写真集プロデューサーが何故、北川の性器の具合を知っているのか?」や「北川のハメ撮り写真が大量に流出している?」など、ツッコミどころは満載。根拠も何もあったものではなく、かなり強引なトンデモ記事だが、今をときめく人気女優を相手にイニシャルも使わず、ここまで堂々と勝負を挑む"剛腕"には、すがすがしさすら感じる。

 ただ、惜しむらくは"官能"と"写真集"の文字。"官能"はくどいし、性器の"写真集"としてしまうと、あきらかに無理がある。その点、"スクープ! 北川景子「どて高性器」ドアップ写真"なら、流出モノっぽさが出て、わずかながらも期待値が上がる。とはいえ、ノーマルリーチに泡予告がついたくらいのものだが……。

 2位も「実話」から、「誌上公開『八重の桜』女優乱交パーティー全裸SEX濡れ場」。

 NHK大河ドラマ『八重の桜』に出演中の女優・門脇麦が、来年3月公開の主演映画『愛の渦』にて、美乳を惜しげもなく披露した"完脱ぎ"状態で、乱交パーティーシーンや積極的な騎乗位SEXシーンなど、体当たりの濡れ場に挑戦しているという。「チン○! チン○!」などの細かいセリフやカラミシーンの描写などが詳報されており、先述の北川景子の記事とは打って変わって綿密な取材の形跡が伺える。こちらの方が100倍スクープ性は高いのだが、実際に"スクープ"という見出しを使うのは北川景子の記事の方になるわけで、結局のところ芸能人は知名度が命ということなのだろう。

 3位は「アサ芸」の「番長清原が猛毒暴露した『桑田金属バット襲撃』計画」。

 最近やたらと抗争ネタと野球ネタに力を入れている「アサ芸」らしい記事。PL学園の同期である清原和博氏と桑田真澄氏が、プロ野球入り前にドラフト会議にかけられた際の過去の因縁にまつわるおなじみの話に付随したこぼれ話なのだが、見出しに"金属バット襲撃"という時事っぽいフレーズを入れたあたりを評価した。

 4位は「大衆」の「エロ暴走がとまらない!! 『女は子宮で考える!』と啖呵をきった長澤まさみ『シミつきパンチラ解禁』事件」。

 映画『モテキ』での"ベロチュー&乳揉まれ艶技"で清純派の呪縛が解かれて、見事に復活を果たした長澤まさみ。ドラマ『都市伝説の女』では自慢の美脚を前面に押し出すなど完全に開き直った観があり、女優として一皮むけた印象だ。今の長澤なら「女は子宮で考える!」と啖呵をきったとしても不思議ではないという点でリアルさはあるが、そのぶん意外性に欠ける。

 編集者もその点を考慮して「エロ暴走がとまらない!!」というフレーズを足して煽るつもりだったのだろうが、ガチンコ度で勝負するなら正直言って蛇足だろう。ついでに言うと、"解禁"、"事件"も必要なく、「『女は子宮で考える!』と啖呵をきった長澤まさみのシミつきパンチラ」の方がスマートかつ、読者の琴線に触れるように思うのだが…。

 5位は、「セブン」の「明菜 スクープ 超ひこもり『同棲』撮った! 姿消して3年。恋人マネジャー所有マンションで、1ヵ月外出ゼロ生活」。

 表舞台から消えてひさしい昭和の歌姫・中森明菜の近況については、正直興味をそそられる。「セブン」のことだから、莫大な経費を使って今回の記事も仕立てたのだろう。その努力は買いたいところだが、内容は個人事務所のマネジャーと同棲していることや引きこもり生活をしていることなど、どれも既出レベルの情報で目新しいものはなし。これが直撃インタビューなら、わずかでも明菜本人のコメントがあるのなら、評価も変わってくるのだが…。

 それと、もううんざりなのが"撮った!"というセンスのカケラもない見出し。これだけ携帯電話が普及し、誰もが気軽に携帯カメラ機能でバシャバシャ写真を撮り、フェイスブックやブログに上げたり、盗撮写真や流出写真が問題になっている"過剰撮影時代"で、勝ち誇ったように"撮った!"と仰々しくアピールされてもねえ。

「NEWSポストセブン」を運営してインターネット分野に力を入れるなど、体質の古い大手出版社の中では何とか時流に乗ろうとしている小学館だが、そのわりに古ぼけた「セブン」の見出しや紙面構成を見ると、いつも矛盾を感じてしまう。資本力もあり、優秀な記者やカメラマンを抱えているのに、何とももったいない限りである。

三杉 武(みすぎ・たけし)
大学を卒業後に全国紙で記者を経てフリーに転身。記者時代に培った独自のネットワークを活かして、芸能評論家として活動。週刊誌やスポーツ紙で独自の視点からコメンテーターを務めるほか、スクープ記事も手掛けている。アイドルやアニメ、TRPG、プロレスなどのサブカルチャーにも造詣が深い。
2012年には『AKB48総選挙2012公式ガイドブック』にて、10論客として第4回AKB48選抜総選挙の予想および解説を担当。翌2013年にも『AKB48総選挙2013公式ガイドブック』にて、8論客として、第5回AKB48選抜総選挙の予想および解説を務める。

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