――ここまで日本のドラッグの現状について掘り下げてきたが、現在のアメリカでは“モーリー”なる薬物が若者たちの間で蔓延している。それは、従来のドラッグと何が違う?
2013年に公開されたハーモニー・コリン監督の映画『スプリング・ブレイカーズ』より。アメリカではこういう女子がモーリーにハマってる? DVDが11月22日に発売。発売・販売:東宝/価格:3990円(税込) (c) Spring Breakers,LLC
2013年春にアメリカで公開された『スプリング・ブレイカーズ』は、映画としては子どもだましにすぎないが、だからこそ、同国における若者とドラッグとサブカルチャーの関係性を伝えるルポルタージュとしてよくできている。要するに、それぐらい、現実も薄っぺらく、馬鹿馬鹿しいのだ。
また、監督のハーモニー・コリンが約20年前に脚本を手がけた『キッズ』がニューヨークの少年少女の怠惰な日常のサウンド・トラックとして、当時の潮流だったローファイ・ミュージックを選曲していたように、同作でもポップ・ミュージックは効果的に使われており、田舎の退屈な大学生活に飽き飽きした主人公たちがスプリング・ブレイク=春休みで羽目を外そうと向かう先は、流行のジャンル“EDM”【註:もともとはエレクトロニック・ダンス・ミュージックの略】のビーチ・パーティである。