――知ってのとおり、2020年にオリンピックが東京で開催されることが決まった。日本オリンピック委員会と電通は一心同体となって招致活動に奔走し、さらには皇室まで巻き込む形となった。はたしてそのウラには何があったのだろうか?
イラク出身の女性建築家であるザハ・ハディトによる新国立競技場のイメージ案。建設費はいったいいくらかかるのか?
2013年9月8日、20年オリンピック開催地が東京に決定した。その日のテレビでは、歓喜する招致メンバーたちの「抱擁しあう瞬間」が繰り返し流れた。
1964年の東京オリンピックは、ある世代にとってはノスタルジックな感情を刺激する「古きよき時代」――すなわち「明るい未来」に向かってひた走っていた高度成長期を代表する歴史的なイベントであり、第二次世界大戦敗戦国である日本が、再び国際的に認められる契機として記憶される「復興」の象徴でもある。
そんなビッグ・イベントの再来である。国中ブチ上がってのお祭り騒ぎ……になるかと思いきや、いささか様子が違う。招致メンバーたちの興奮とは裏腹に、世間的には意外とクールな受け止められ方をしている印象がある(あるいは、東京開催はうれしいが、「手放しには喜べない」という声も聞く)。
そもそも東京が開催地として名乗りを上げたのは、16年夏季オリンピックだった。しかし、ご存じのように落選して、開催地はブラジル・リオデジャネイロに決定した。石原慎太郎前都知事のオリンピックへの夢は、新都知事・猪瀬直樹に引き継がれ、9月の招致決定に至る。
皇室を引っ張り出し各国に招致アピール
今回の決定は、日本オリンピック委員会(以下、JOC)による熱心なロビー活動の結果であると言われている。JOC会長の竹田恆和氏を中心に、スポーツ界、政界、財界、さらには皇室までもが一丸となり、各国の国際オリンピック委員会(以下、IOC)の委員たちに働きかけた。
「前回の2016年招致活動との大きな違いは、皇室のバックアップでしょう。プレゼンテーションで高円宮妃久子さまが登場したのは、やはり大きかった。そして“陰の立て役者”といわれているのが招致委員会副理事長の水野正人氏です。スポーツ用品メーカー『ミズノ』の3代目社長で、06年にミズノ代表取締役会長就任、IOC委員とも交流が深い。ただ、IOCの規約でスポーツ用品メーカーに属している人間は招致メンバーにはなれないため、石原前知事から招致委員会入りの要請を受けた水野氏はこれを快諾するとともに、11年に会長職を辞して委員会入り。その後、世界中を飛び回り、招致に向けての根回しをしました」(JOC関係者)
また、別のJOC関係者は、竹田氏についてこう語る。
「竹田恆和氏は今上天皇のはとこに当たる人物。父は皇族の竹田宮恒徳王で1947年に皇籍離脱していますが、竹田家と皇族は今も密接な関係にあります。もちろんそういった事情も皇室のバックアップにつながりました。そうした華々しい肩書きがある恆和氏ですが、一方で、かつては愛人問題で離婚するといったスキャンダルもありました。右翼のフィクサーとして知られている朝堂院大覚氏や敬天新聞社社主の白倉康夫氏と親しげにする写真も出回っており、交友関係にも若干キナくさいところがある。また、息子(次男)の竹田恒昭氏が電通の社員ですが、“コネ入社”疑惑がいまだにささやかれていますね(笑)」