サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > Jリーグには特別枠も! スポーツ界における【在日タブー】の今

――日本のスポーツ界では、多くの在日朝鮮人・韓国人の選手が活躍している。古くはプロ野球界で活躍した張本 勲や、告白本を出版した金村義明、サッカーでは李 忠成や鄭 大世らが、一般に知られるところだろう。しかし、いまだ選手たちは自身の出自を語ろうとしないケースが多い。果たして、いまだに、「在日タブー」が存在するのか?

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『日本代表・李 忠成、北朝鮮代表・鄭 大世~それでも、この道を選んだ』(光文社)

 ナベツネの次は誰か──。

 この問いに対する答えこそが、日本スポーツ界における最大の「在日タブー」と言えるかもしれない。

 読売新聞グループの総帥にして「株式会社読売巨人軍」の取締役会長でもある渡邉恒雄は、1926年生まれで今年87歳。彼がいずれ“Xデー”を迎えた時、プロ野球界の「ドン」の座を誰が継承するのか。

 そう、筆者としては、何度考えてみても、孫 正義の名前しか残らないのだ。

 福岡ソフトバンクホークスの実力と勢い、親会社の事業規模とそれに対するオーナーシップの強さ……。これらさまざまな要素を検討していくと、オリックスの宮内義彦や楽天の三木谷浩史といった対抗馬たちにも、まったく引けは取らないだろう。

 それに恐らく、孫はプロ野球界のドンの座を占めることに強い意欲を持っている。そのことは、今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加した「侍ジャパン」の監督選考の過程ににじみ出ていた。

 日本野球機構(NPB)は当初、2012年9月いっぱいを監督選考の「リミット」として設定していた。しかし、人選は迷走を重ね、山本浩二が就任したのは10月10日である。混乱の一因は、最後まで秋山幸二ソフトバンク監督の就任にこだわった、同球団の王貞治会長と孫オーナーにあったというのが定説になっている。

「週刊実話」(日本ジャーナル出版)によると、その舞台裏について福岡の地元放送関係者はこう明かしている。

「王会長にすれば、興行的にもメンツの面でも秋山監督に指揮を執らせたかったのでしょう。しかし、自前の監督にこだわったのは、そんな単純な構図だけではない。今大会には、8年あまり温めてきた孫正義オーナーのワールドワイドな構想が潜んでいるのです」

 その構想とは、「大リーグのワールドチャンピオンと日本一球団の“リアル・ワールドシリーズ”を実施する」というもの。もし孫のプッシュによって秋山ジャパンが3連覇を達成していたら、球界全体における彼の発言力は著しく向上し、その構想は実現へと大きく前進していたかもしれない。

 そしてその功績は、ナベツネの後継者の座を射止める上で“王手”となっていたかもしれないのだ。

 日本において、プロ野球ほど権力と直結しているスポーツはない。球団オーナーともなると財界に一定の地位を占め、政界にさえ影響を及ぼす。その下地を作ったのはまさしく、巨人軍の生みの親である正力松太郎であり、後継者のナベツネなのだ。

 一方、孫やロッテのオーナー・重光武雄(辛 格浩)は在日韓国人でありながら、球団育成に力を注ぐことで、日本の政財界の中心に一定の地位を占めてきたと言える。

 そしてついに、孫は「ドン」の座をも射止めようとしている。それはつまり、日本が世界に誇るプロ野球の看板を、在日が背負うことを意味しているのだ。

野球は“通名”登録が基本 あの有力球団の選手も

 正力が野球を通じて権力を握り得た理由のひとつは、巨人軍との“セット売り”で宣伝しまくった読売新聞の大部数が、世論を動かす巨大な影響力を持ったからだ。

 そしてもうひとつの理由には、「米国へのアクセス」がある。

 知っての通り野球は、北米と中米、日本、韓国、台湾ぐらいでしか普及していない。これらの中でもアジアの3国は、第2次世界大戦後、ソ連や中国、北朝鮮と対峙しながら、米国のスポンサーシップに頼ることで共産化を免れた国々だ。

 つまり野球は、スポンサーたる米国が存在を誇示するための広告塔の役割を果たしていたわけで、それを最も巧みにマネジメントした正力は、米国に太いパイプを築いた。詳細は『日本テレビとCIA発掘された「正力ファイル」』(宝島社)などの関連書籍に明るいが、そのパイプを通じ、正力はテレビ放送網や原発までをも日本に持ち込んだのである。

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