──たとえば、観客の高齢化が甚だしいフジロック・フェスティバルは、もはや若者文化を象徴するイベントとは呼べない。あるいは多くの10代が、お笑いやテレビドラマ以上に享受しているアニメを、オタク文化と言い切るのはもう古い。そんな今、ヒップホップ、ボーカロイド、ニコニコ動画の「歌ってみた」……といった中高生・大学生の間で活況を呈しているように見えるシーンの内部はどうなっているのか? これは、「最近の若者は……」と紋切り型の嘆き節をこぼしそうになっている大人に向けた、ユース・カルチャー・ガイドである。“恐るべき子どもたち”の姿に刮目せよ!
フジロックなんて若者はちっとも楽しくない!?
2010年代版ユースカルチャー・マップ言うまでもなく、現在の若者文化は一枚岩ではない。ヤンキーとオタク、あるいはリアルとネットの間に存在するイベント、スペース、サービス、メディアなどをまとめてみた。
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※独自調査による見取り図です。若者の年齢は中学生~20代前半を想定しています。(作図/サイゾー文化研究所)
インターネットが一般的に普及した2000年代を通して、すべての情報はフラットに再編成されたはずなのに、実際のところ私たちは自分に必要なものにだけアクセスするようになった、とはしばしば耳にする。そして2010年代の現在、そのせいなのか、左のマップのごとく無数の趣味趣向ごとに若者はクラスタ化(同種の人間で寄り固まること)し、属するクラスタの違う者同士が日常で交わることはほぼないといえる。
極端な例を出せば、この8月、クラブ化した海の家で踊っていた悪羅悪羅系(09年創刊のファッション誌「SOUL Japan」が提唱するスタイル)の不良高校生と、アニメロサマーライブ(05年より開催されている、世界最大のアニメソングのフェスティバル)に足を運んだアニオタの高校生が今、同じ教室内で夏の思い出を楽しく語り合っている光景は想像しにくい。