比嘉康雄「宮古島 狩俣 ウヤーン」(1989年)
実りの秋には全国津々浦々で収穫を祝う祭祀が執り行われるが、その中心的な役割を果たすのは男性である場合が多いだろう。天皇も宮中祭祀を担っており、よく知られているものでは五穀の新穀を神に捧げ、その年の収穫に感謝する新嘗祭がある。
比嘉康雄「久高島 フボー御嶽 フバワク」(1975年)
沖縄では五穀が伝わったのは、本島南部の知念半島の東の海に浮かぶ久高島とされている。琉球創世神・アマミキヨが降り立った「神の島」として崇められるこの島には、琉球国王も五穀豊穣の祈願のために巡礼したと伝えられている。しかしこのような例を除けば、奄美から八重山に至る琉球弧の島々では多くの祭祀は主に男性ではなく、ノロと呼ばれる最高神職者をはじめとする女性たちによって担われてきた。