──日本にもまた、創価学会や世界救世教をはじめ、数多くの新興宗教が存在する。彼らにも、独自のアートは存在するのだろうか?
『村上隆完全読本 美術手帖全記事』(美術出版社)
「日本の新興宗教団体には、芸術家の信者はいても、あくまで個々の活動を行うのみ。教団独自のスピリチュアル・アートの制作を行うに至っている団体はほとんどないのです。というのも、日本の新興宗教は、神道から派生したものが多い。神道というのは、極端な話、鳥居を立ててかしわ手を打ったら終わりで、教義も古事記などを教典代わりにしているようなものなのです。宗教美術は本来、信者に見えないもの、つまり精霊などをヴィジュアル化したり、文字の読めない人たちに絵で教義内容を伝えるといった役割を担うものでした。しかし、神道はその伝えるべき“ソフト”が弱いため、絵や偶像などによる表現が発達しなかったのです」(芸術評論家・S氏)
しかし、創価学会の東京富士美術館や、神慈秀明会のMIHOミュージアムのように、美術館を持つ団体はいくつか存在している。