――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!
加護亜依が芸能界に復帰した。といっても復帰宣言しただけで、今後の仕事は未定だ。さらに、“加護亜依”という名前は元の所属事務所が商標登録をしており、事務所側は加護名義の活動には芸名の使用料を求めるという旨が報じられた。
そんな加護が、モーニング娘。のメンバーとしてデビューしたのは12歳の時である。ブームに乗りあっという間に売れた。年齢など関係なく、売れれば稼ぎも増える。奈良県出身の加護を母親と祖母が上京して身の回りの世話をしていた。都内の高級マンションに住み、まだ若い祖母が運転手をしていた。その車はベンツだった。
「今、不倫騒動で休養中の矢口真理も最盛期には年収で4000万円ぐらいあった。加護も当時はそれに近い収入を得ていたはず」(芸能関係者)というから、ベンツくらい買えて当然だろう。以前、奈良にある加護の実家を取材したことがあるが、現地は奈良の田舎町。周囲は民家と畑しかない。近所の人によれば、「加護ちゃんが芸能界に入ってから家を建て替えて、こんな田舎ではひと際目立ちます。白亜の加護御殿といったところでしょうか(苦笑)」と語っていた。
まだ十代の娘が家を建て替え、ベンツまで購入。加護家は大きな転機を迎えていた。
「父親は母親の再婚相手ですが、奈良に一人残された居残り単身赴任のようなものでした」(近所の住人)という。
人気と仕事が増えれば収入も増える――。ある歌手によれば、「いきなり貯金通帳の末尾に0が増え、何度も数え直した。宝くじに当たったような感覚だろうね」という。
だが、好事魔多し。加護は2007年に写真誌に喫煙現場を撮られ謹慎処分。後に復帰したのも束の間、再度喫煙に不倫旅行のオマケまでついて事務所から解雇された。
未成年で喫煙や飲酒の経験がある人は少なくない。それは芸能界でも然り。未成年時代の喫煙写真が週刊誌を賑わせたケースもあるが、現役の芸能人による現行犯は珍しい。
そして、解雇を機に加護の転落人生が始まる。
不倫裁判をしたかと思えば、2011年には恋人とのトラブルで自殺未遂騒動。その後、同年にでき婚。昨年6月には女児を出産した。25歳にしてこれだけの経験をする芸能人はあまりいない。加護自身も“ジェットコースター人生”とまで言っているが、普通なら「もう懲り懲り」と、生まれてきた子どものためにも、おとなしく表舞台から退くものだが、また懲りずに復帰するのだから驚くやら呆れるやら。
加護は復帰理由として、「ずっと待っていてくれているファンのために」と語っているが、やはり「夢よ、もう一度」が本音だろう。夢とは「人気、仕事、収入」の三点セットを指すということは言うまでもない。
日本を代表したシャンソン歌手、越路吹雪さんはかつて筆者に「舞台でひとり、スポットライトを浴びるエクスタシーに勝るものはない」と言っていた。舞台歌手らしい表現だが、加護に置き換えれば、3点セットがエクスタシーなのだろう。
近年は、かつて活躍していたグループや歌手が復帰するのが当たり前の時代。一応、「震災復興のために」などと大義名分を謳う輩も少なくはないが、要は仕事と収入。「全盛期の稼ぎよりも今の生活、仕事、稼ぎが充実していれば、なにも復帰する必要はない」(音楽関係者)
山口百恵さんは誰もが復帰を望む歌手であるが、三浦友和の妻という今の充実した生活を捨ててまで戻らないということが、如実にそれを物語っている。
芸能界に限れば復帰は簡単だろう。だが、以前のように人気と収入が得られるかというと「誰でも」というわけにいかない。長年の取材経験でいえば、復帰をして成功する芸能人は、歌でも芝居でも秀でた才能があり、ビジュアル的な人気よりも、“あの人の歌が聴きたい。芝居が見たい”という人に限定されてくる。それが本当の芸能人の姿である。覚醒剤で捕まり一年近い謹慎生活を経て復帰した歌手の槇原敬之は、その象徴とも言えるだろう。
槇原は決してアイドルのようにビジュアルで売れたわけではなく、数々の楽曲が評価されたミュージシャンである。「槇原は、捕まる前よりも売れている。自分で歌う楽曲だけでなく、他の歌手に歌を提供しており、作詞・作曲に歌の印税たるや莫大なもの。もし所得番付が公表されていれば、間違いなく歌手部門でベスト3に入るだろう」(音楽関係者)
一方、加護にはどのような芸や才能があるだろうか。ソロ歌手としても女優としての実績も乏しい。結局、ひな壇タレントくらいしかない。現在はトーク中心のタレント全盛期とはいえ、そうしたタレントは雨後のタケノコのように出てくる時代。加護がどこまで新鮮かは疑問だ。いかに私生活ネタを提供できるかでひな壇のひとりにはなれても、一過性に過ぎない。所属する事務所も加護の為に設立した新生の事務所。まだ実績もなければその実態もわからない。
元オセロの中島知子も復帰はしたものの、以前のようにメジャーな仕事はなし。ヌード写真と激しいベッドシーンのある映画に頼るしかないのが現状だ。幾度となくAV出演が囁かれた加護だが、はたしてその覚悟はあるのだろうか? 今流行りの「ママドル」になって、お店やファッションビジネスの副業を考えているのだろうが、一度、おいしい味を覚えたら、なかなか辞められないのが芸能界のお仕事なのだ。
ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母親が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。