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第1特集
サイゾー的 現代美術家ガイド!【1】

サイゾー的アーティスト・ガイド! この美術家がヤバい!タブーに挑む最尖端芸術

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――村上隆、奈良美智、会田誠といった現代美術家は一般的に名が知られているが、彼ら以降の世代にも刺激的な作家たちがいる! 2010年代の今、本誌がタブーに挑んでいると見なすのが、この10名のアーティスト。あなたの頭は、彼らの表現についてこられる?

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開催中のヴェネチア・ビエンナーレで特別表彰を受けた日本館。その代表を務めたのが田中功起氏。(画像提供:国際交流基金 Courtesy of the Japan Foundation Photo by Keizo Kioku)

 現代美術にタブー破りの表現はない、と初めに断言しよう。美術史でタブーといえばまず思い浮かぶのは、表面のみ印刷した千円札を用いて作品を制作した赤瀬川原平が、紙幣を印刷した行為に対して「紙幣に対する社会的信頼を損なうおそれ」があるとして起訴された、いわゆる「千円札裁判」(1965~67年)だ。しかし翻ってみれば、特に近代美術以降、アートは「既存の価値観を揺るがす」という意味合いも強くなった。結果、有罪判決を受けた赤瀬川は「社会的なタブー破り」とみなされたのであって、この事件が美術史の中で歴史化されるとともに「タブー破りの芸術」とは言えなくなったように思う。現に現代美術では、それがいかに反社会的な作品だったとしても、(法と倫理に抵触しない限りは)美術館をはじめとする業界の体制の制度の下で、「表現の自由」を盾にタブーか否かを論じられることもなく展示されているのだ。

 それでも表現にタブーがあるとすれば、長らく美術と「相性が悪い」とされ、敬遠されていたサブカルチャーだろうか。しかし、その狭間でさえ現代では金氏徹平らによって当然のように浸食されている。フィギュアやビニール人形なども素材に用いる金氏が30代前半という若さで横浜美術館での個展(2009年)を実現したことは、スタジオジブリや荒木飛呂彦の作品がアート施設で展示され、ファインアートという言葉が半ば死語と化した近年の状況と並行してみれば、非常に示唆的だとは言えまいか。つまり、現代美術には「社会的なタブー破り」であろうと相性の悪い何かであろうと、その体制の内側に取り込もうとする貪欲さがあるのだ。

 それでもタブーがあるとするなら、どのような芸術を指すのだろうか。ひとつは赤瀬川のように、「自由である芸術表現」を用いて社会や一般常識のグレーゾーンへ挑み続ける作家だ。近年の代表格は、やはりChim↑Pom。広島の上空に飛行機雲で「ピカッ」の文字を書いたり、東日本大震災直後に渋谷駅連絡通路に展示されている岡本太郎の傑作《明日の神話》の片隅に絵を付け加えたり、センセーショナルに見えて緻密でナイーブな回路を経た彼らの社会介入は、本誌読者もよく知るところだろう。

 ほかにも震災直後の反原発デモを逆走するパフォーマンスの映像を制作した丹羽良徳のように、時に社会の「善意」ですら批評対象とすることで公共性が一枚岩でないことを表現している作家もいる。

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