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第2特集
ブラジルの「光と陰」【5】

アマゾン発祥の”土着ミュージック” 「テクノ・ブレーガ」っていったい何?

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──日本では、在日ブラジル人ガールズユニット・リンダⅢ世が局地的に話題を振りまく中、当企画では、日本人にはあまりなじみの薄いブラジルの音楽の「現在進行形」を探ってみた。

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テクノ・ブレーガのステージ。楽器から火花というバカバカしさに唖然。

 ここでは『ボサノヴァの真実』(彩流社)、『リアル・ブラジル音楽』(ヤマハミュージックメディア)などの著書を持ち、ブラジル総合情報フリーマガジン「ジョルナル・コルデル」の編集長を務めるウィリー・ヲゥーパー氏に、ブラジル音楽の最新トレンドを伺った。

「ブラジル音楽の面白さは、まずミックス文化にあります。そもそもブラジルという国自体、原住民のインディオ、ヨーロッパからの白人移民、アフリカからの黒人奴隷という3つの人種を核に、1888年に奴隷制が廃止されて以降は世界100カ国以上から移民を受け入れ、今日に至るまで混血を繰り返しています」

 音楽も同様に、端的にいえばインディオの素朴で原始的なメロディ、ヨーロッパから伝わったキリスト教音楽などのハーモニー、アフリカ由来のリズムがミックスした土壌に、外来の音楽文化を雑食的に吸収し、独自の音楽的進化を遂げているのだ。

「ブラジル音楽にはジャンルの境目がないというか、それぞれが根底でつながっているんです。それは各々がブラジル人としてのルーツを大事にしているから。たとえばブラジルにもヒップホップはあって、やはり黒人の若者がアメリカのヒップホップカルチャーに共感して始めたんですけど、『オレたちはブラジルの黒人だから』とサンバのレコードからサンプリングしたり、ポルトガルの植民地時代から伝わる吟遊詩人の韻の踏み方に『ブラジル人のラップ』の原点を見出したりするんです」

 一方で、ブラジルは国家としての歴史が浅いため、国民の意識も過去に頓着しない。つまり、昔と同じことをまたやろうとは思わない。今、ボサノヴァをやるなら、何かしら新しい感覚を取り入れなければやる意味がない。そういった意識を持つ人が多い、要は新しいモノ好きな国民性なのだ。

「あと、国が大きいからヒットチャートもバラバラ。リオでは売れているけどサンパウロでは無名といったような、ご当地歌手みたいな人もたくさんいますし、地方ごとの民族音楽みたいなものもあって、それぞれが現代の音楽として進化してるんです」

 そうしたローカル音楽の中で、最も新しく、ブラジル全土を席巻する勢いで盛り上がっているのが、ブラジル北部、アマゾン川下流域に位置するパラ州ベレン発祥の「テクノ・ブレーガ」だ。

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