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やはりエレクトロニクスが足を引っ張っている一方、金融が圧倒的に利益を上げているのが分かる。
11年度の決算が3社とも過去最悪の最終赤字に転落し、ともに新社長に交代し、崖っぷちを迎えていた日本を代表する家電御三家ソニー、シャープ、パナソニック。この5月各社が発表した2013年3月期の決算により、ここ数年来叫ばれてきた電機業界の苦境がより深刻になっていることが明らかになった。
まずは5月10日にパナソニックが発表した13年3月期決算では、純損益が7542億円と、過去最大級の大赤字があらわに。
こうした最悪の事態に対して同社社員は憤りを隠さない。
「決算の結果よりも、とにかくボーナス、残業代カットのほうがインパクトがありましたね。これについては、労働組合を交えた話し合いがありました。儲かってた商品の会社も一律ダウンだから、モチベーションが下がった人もいっぱいいたはずです。
決算については、上司は『早くまともな会社に戻れるように、がんばろう』と言っていた。でも正直、今回の結果を持ってしても、会社の具体的なビジョンが見えないし、今の上層部は、自分たちがテレビ出身で、巨額の赤字を生み出してきたという意識があるのか疑問。アベノミクスも実感ないし、今後、会社がどうなるのか不安だなあ……という感じですね」
ソニー
ソニー株式会社。1946年設立の電子機器メーカー及び、ソニーグループの中核企業である。同グループは大きく分けて,エレクトロニクス事業、ゲーム事業、金融事業、音楽事業、映画事業などがある。特に音響・映像機器や放送機材では世界屈指のブランド力を持っていたが、近年ではその凋落が顕著となっている。
続いて、5月14日にはシャープも決算を発表。昨年度の決算からの1年間、台湾・鴻海との提携交渉と決裂→韓国・サムスン電子と提携、主力としていた液晶パネルの不振などで、電機業界凋落の象徴として扱われてきたシャープは、14年度もまったく明るい未来が見えない状態だ。13年3月期連結決算は、5000億円規模の純損失となり、2期連続の巨額赤字を計上した。
シャープは今回の決算を受けて、追加のリストラやトップ人事も断行。片山幹雄会長が退任し、奥田隆司社長は就任してわずか1年で代表権のない会長に退く。
「奥田氏は、同社のメインバンクであるみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行の言いなりで、社内でもリーダーシップが発揮できていなかった」(経済誌記者)との批判が聞こえてきていた。これら人事の正式発表は、6月下旬に開催の株主総会後の取締役会となる予定だ。