――われわれ日本人は、そして世界の人々は、女体盛りをどのように受容し、そしてどのように描いてきたのか?
【1】春画
■醤油の代わりにマン汁を!
磯田湖龍斎「笑翔色物馬鹿本草」(1778年)
江戸中期の春本より、クンニリングスの図。男はマン汁を「うまい、甘露の味』と評しているが、飲食物との結合はまだ。時代下って1852年に書かれた遊女向けの手引書『おさめかまいじょう』には、「くせもんあり。はんばより、酒、さしみを取り食らうに、ぼぼあけさせ、ぼぼ水にワサビ付け、さしみを食らう」との一節が。「ぼぼ」とは女性器、「ぼぼ水」とはいわゆるマン汁を指すが、わざわざ注意書きまでされるということは、それなりにヤリたがる客もいたのだろうか。ちなみに同書には「干しかんぴょうや半分溶かした凍りこんにゃく、湯で戻した高野豆腐で男性器を巻くと、男はより締まりがいいって感じるよ!」などのアドバイスも。食べ物使いすぎだろ。
【2】男性誌
■リーマンにとっての竜宮城
「GIGOLO」(1983年/平和出版)
これぞ、我らが女体盛り! 高度経済成長期、社員旅行という文化と共に温泉街で誕生した女体盛りは、エロ本の創刊号で巻頭を飾るほどの勢いを持っていた。題して「男の湯の町ロマン 女体盛り」。畳の上で目を閉じて横たわる2人の女性と、そこに盛り付けられた豪勢な刺身。女体盛りをぐるりと囲んで箸を伸ばす数人のサラリーマン。そこはまさに、海辺の竜宮城。1枚の写真に写るサラリーマンのメガネと、「われわれ窓際族のささやかな楽しみは、せめて会社の慰安旅行でタダ酒をのむことぐらい」という一文が泣かせる。がんばれ、サラリーマン。