──その産業規模から、“農水族”といわれる議員が跳梁跋扈し、業界団体が乱立されるなど、利権にまみれた食品業界。利権の根深さ、影響力の強さを“危険度”として、その構造と内情を探った。本当に“美味しい”思いをしているのは一体どこ!?
【利権1】水利権
■海外企業が日本の水を枯渇させる!?
危険度★★★★★
(絵/カズモトトモミ)
水に関する利権では、水道事業を運営する自治体とコンサルタント、メーカーが天下りなどを通して癒着し、割高の設備を発注・受注するという構図が一般的。水道インフラに関しては、ウォーターバロンと呼ばれる海外企業の寡占状態も問題視されている。
そんな中、現在注目されているのは地下水をめぐるビジネスだ。日本の地下水は取水に対する規制が緩く、土地さえ購入してしまえば際限なく採取が認められている。そんな現状に各企業が目をつけ、地下水をミネラルウォーターや工業用水として利用しているほか、外国企業などによる水源購入の動きも出てきており、日本の水資源の枯渇が心配されている。水問題に詳しいジャーナリストの橋本淳司氏によると、「仮に今後規制ができたとしても、現在、地下水をくみ上げている企業には、採取の継続を認める可能性がある」。現に、行政が管轄している河川の取水権である「水利権」の場合、制度制定前から河川の水を利用していた農家などには「慣行水利権」を与え、許可申請を免除している。規制が緩い今なら、地下水の既得権が取り放題の状態なのだ。