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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【7】

遠隔操作ウイルス事件に見る 対サイバー人材の不足と偏重

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の”意図”──。

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「遠隔操作ウイルス事件」
2012年6~9月、遠隔操作されたPCからネット掲示板に複数の犯行予告が書き込まれた事件。4人を誤認逮捕、謝罪した後の13年1月、捜査本部は犯人によって記録媒体つきの首輪を取りつけられた猫を江ノ島で発見。2月にIT関連会社社員の片山祐輔容疑者を威力業務妨害容疑で逮捕した。

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『サイバー犯罪対策ガイドブック』(民事法研究会)

 世間を騒がせた「遠隔操作ウイルス事件」の容疑者が、最初の事件発生から8カ月後の2013年2月に逮捕されました。警察のサイバー犯罪への対応のお粗末さが批判されていますが、私はむしろ、4件の冤罪事件を引き起こしたことはともかく、曲がりなりにも容疑者検挙に至ったことについては、今の警察にしてはよくやったほうだと評価しています。なぜなら現在の警察には、そもそも今回のようなサイバー犯罪に対処できる人材が調達されていないことを知っているからです。今回は、そのあたりの内情を開帳するとしましょう。

 防衛省、警察庁、都道府県警には、それぞれ対サイバー犯罪・テロ関連の部署が設けられています。おのおのの人員配置の現状を見る前に、ひとつ言っておきたいのは、インターネットにおける戦いは“一騎当千”、つまり人員の量ではなく質が勝敗を分けるということです。テロ対策にしても犯罪捜査にしても、現実世界では人員の頭数さえ多ければなんとかなります。しかしサイバー空間ではそれとは正反対に、極端な話、超優秀な人材がひとりいればいい。クラッキングに対処するにしても、強力なファイアウォールなりを作れる人物がひとりでもいれば問題ないからです。

 ただし、優秀な人材というのは絶対数が限られていますから、どうしても組織同士で奪い合いになる。そうなると、能力の高い人材をどこに配置し、どんな任務に当たらせるか、それを国家レベルでどう決めるかが問題になるわけです。

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