サイゾーpremium  > 連載  > 小原真史の「写真時評 ~モンタージュ 過去×現在~」  > 写真時評~モンタージュ 現在×過去~【12】
連載
写真時評~モンタージュ 現在×過去~

グローバル経済と外来種

+お気に入りに追加
1304_shasin_01.jpg
《ササ藪を移動するソウシチョウ(中国原産)》(長野県/2012年)(c)宮崎学

 外来種問題の嚆矢は大航海時代にさかのぼるが、地球規模に経済活動が拡大した今日では、よりいっそう深刻な問題になりつつある。

 写真家の宮崎学はユーモア溢れる視点で外来動物たちの姿をとらえてきた。例えば、鶴岡八幡宮で観光客たちに餌をもらうタイワンリス、鎖国をした徳川家康築城の名古屋城で暮らすアカミミガメ、雪の中で羽ばたく南方系のソウシチョウなど、彼らが新たに定着した日本の環境とのコントラストが笑いを誘う。しかし、日本的な経済の生態系を駆逐するようなグローバル経済の襲来を前にすると、笑ってばかりもいられない。日本がTPPに参加することになれば、内需が乗っ取られるだけでなく、こうした外来の動植物がさらに増加するに違いない。

1304_shasin_02.jpg
《名古屋城とアカミミガメ(アメリカ原産)》(愛知県/2005年)(c)宮崎学
ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2024年11月号

サヨクおじさんが物申す 腐敗大国ニッポンの最新論点

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ