《ササ藪を移動するソウシチョウ(中国原産)》(長野県/2012年)(c)宮崎学
外来種問題の嚆矢は大航海時代にさかのぼるが、地球規模に経済活動が拡大した今日では、よりいっそう深刻な問題になりつつある。
写真家の宮崎学はユーモア溢れる視点で外来動物たちの姿をとらえてきた。例えば、鶴岡八幡宮で観光客たちに餌をもらうタイワンリス、鎖国をした徳川家康築城の名古屋城で暮らすアカミミガメ、雪の中で羽ばたく南方系のソウシチョウなど、彼らが新たに定着した日本の環境とのコントラストが笑いを誘う。しかし、日本的な経済の生態系を駆逐するようなグローバル経済の襲来を前にすると、笑ってばかりもいられない。日本がTPPに参加することになれば、内需が乗っ取られるだけでなく、こうした外来の動植物がさらに増加するに違いない。
《名古屋城とアカミミガメ(アメリカ原産)》(愛知県/2005年)(c)宮崎学