サイゾーpremium  > 連載  > 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」  > 【町山智浩】奴隷制犠牲者の復讐劇
連載
町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第65回

黒人の人権派が大激怒!? 奴隷制犠牲者の復讐劇

+お気に入りに追加

雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『ジャンゴ 繋がれざる者』

1303_machiyama.jpg

元歯科医の賞金稼ぎキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に助けられた奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)に買われた妻を取り戻すため、賞金稼ぎとして白人を殺しまくる。

監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオほか 日本では3月1日より全国公開予定。


 クエンティン・タランティーノ監督の新作映画『ジャンゴ 繋がれざる者』は、南北戦争前の南部を舞台に、黒人奴隷のジャンゴがガンマンとなって、残酷な奴隷所有者キャンディと対決する「西部劇」ならぬ「南部劇」だ。

 これはタランティーノが愛してやまない映画『マンディンゴ』からヒントを得ている。『マンディンゴ』は、白人が黒人奴隷の女性に産ませた自分の子どもを奴隷として売って商売する奴隷牧場の実態を暴いている。奴隷所有者は気まぐれに奴隷を殺すが、なんの罪にもならない。黒人は人間と思われていなかったからだ!

『マンディンゴ』は100年以上になるハリウッドの歴史のなかで唯一、奴隷制の実態を描いた映画だ。それ以外に奴隷が登場する映画は、残酷な実態を砂糖で甘くくるんだ『風と共に去りぬ』のようなものばかりだった。しかし、アメリカ人の見たくないものを突きつけた『マンディンゴ』は巨匠リチャード・フライシャー監督作にもかかわらずマスコミから「ゲテモノ映画」と総攻撃され、映画会社もフィルムを処分。DVDも最近まで発売されなかった、まさに「呪われた映画」だった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年5月号

新・ニッポンの論点

新・ニッポンの論点

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【マルサの女】名取くるみ
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【Lee Seou】八面玲瓏として輝く物言う花
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【雪村花鈴&山田かな】CYZOデジタル写真集シリーズ
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ