サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 駄作すぎてPRできない!? 【大コケ映画】失敗の理由
第1特集
ジブリ鈴木Pが激怒! あの惨敗映画の敗因【1】

『カムイ外伝』崔洋一監督の横暴で全スタッフが泣いた! あの大コケ映画が失敗したワケ

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──有名監督、大人気スターを起用し、大々的に宣伝を仕掛けても、人々の記憶にさえ残らないような作品も多数ある。こうした大コケ映画は、なぜ生まれてしまうのか? 業界関係者を中心にその裏事情を調査すると、作品作りから配給・宣伝の過程で、さまざまな無理難題に振り回される“映画業界の労働問題”が垣間見えてきた……!?

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(絵/藤本康生)

パターン別映画大コケ原因【1】
監督の横暴などで作品の質が低下
【配給期待値】
★★★
【観客がっかり度】
★★★★
[代表作]
『カムイ外伝』(09年)
興行収入11.2億円/公開規模309スクリーン/動員35万人(※公開5日間)

[その他]『王様とボク』(12年公開)敗因:監督の前田哲氏が、自由奔放すぎて製作費が増加


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(絵/藤本康生)

パターン別映画大コケ原因【2】
共演者の不仲など、プロモーションの失敗
【配給期待値】
★★★★★
【観客がっかり度】
★★★★
[代表作]
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11年)
興行収入約12億円/公開規模895スクリーン/動員約85万人

[その他]『群青 愛が沈んだ海の色』(20世紀フォックス 09年)敗因:主演の長澤まさみが巨乳解禁と噂されたわりに、フタを開けたらお色気シーンすらなかった/『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』(松竹 11年)敗因:主演の香取慎吾が、主人公・両津勘吉のイメージからかけ離れており、明らかなミスキャスト


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(絵/藤本康生)

パターン別映画大コケ原因【3】
配給会社の変更や公開中止など、社会的要因
【配給期待値】
★★★
【観客がっかり度】

[代表作]
『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11年)
興行収入15.3億円/公開規模308スクリーン/動員12万4972人(※公開2日間)

[その他]『ホームカミング』(クロックワークス 11年)敗因:東日本大震災の影響で一部の公開映画館が中断・閉鎖



 どれほど著名な監督や大物スターを起用しようと、それが必ずしも興行成績に直結するとは限らないのが映画というもの。毎年封切られる1000本近い作品の中には、先ごろ「公開館73館で興行収入8600万円」という具体的な数字が出て“惨敗”とインターネット上で話題となった『苦役列車』【1】をはじめ、さまざまな理由で当初の想定を大きく下回ってしまう、いわゆる“大コケ映画”が少なからず存在する。

 一般的にヒット作の目安とされているのは興行収入にして10億。とはいえ、当たり前の話だが、製作費を10億円かけて、13億円の興収を上げてもヒットとは呼べない。また、人気のマンガや小説を映画化したり、話題の監督や俳優を起用して、注目を集めても興行収入が1億円にも満たない場合も往々にしてある。

 では、そんな“大コケ”の原因とは果たして何か。この稿では、現役の映画関係者らの声をもとに、知られざる業界の内実に迫ってみたい。

KYプロデューサーに塚本高史事務所が激怒!

 まず、大コケの理由として、最もタチが悪いのが、製作段階からその先行きが不安視されてしまうケース。とりわけ、陣頭指揮を執るべき監督やプロデューサーの現場での横暴な振る舞いや、演者たちの間で生じる不協和音は、ともすれば完成を待たずに“大コケ”を決定づける致命傷ともなりかねない。

 さる配給会社の関係者A氏は、そうした現場の苦悩をこう語る。

「『苦役列車』のように作品の評判は決して悪くないのに、結果がまったく伴わないってだけなら、まだいいほう。作品がちゃんと評価されさえすれば、たとえコケてもスタッフやキャストにはある程度の達成感は残りますからね。

 そういう意味では、ここ数年で群を抜いて過酷だったのが『カムイ外伝』【2】の現場。ただでさえVFX(視覚効果)への比重が高い作品なのに、崔洋一監督がスタッフの意向を無視してムチャなカット割りで撮影を続行したため、『ゲゲゲの鬼太郎』のVFXなどを手がけた某有名プロダクションが途中で白旗を揚げた。あとには700カット近い膨大な量の素材だけが残されました。

 しかも、その素材というのも、例えば巨大ザメと格闘するというシーンで、どう考えてもサメより小さいサンドバッグを抱いて、俳優が転げ回っているだけだったり、模造刀の太さが、あとから合成する真剣の太さとまるっきり違ったりと、かなりお粗末だったよう。結果的にこの作品は、共演者だったマツケン(松山ケンイチ)と小雪の結婚というニュース以外には何も残らないほど大コケしましたが、関係者の間では、『残されたあの素材で、よくぞここまでカタチにした』と、最終的な合成処理を担当したイマジカを称賛する声も聞かれたぐらいです」

 一方、監督と共に現場を取り仕切る立場のプロデューサーにも悪例は数多い。別の関係者B氏は、その体験を次のように語ってくれた。

「監督やプロデューサーが、やれあの番組に宣伝を入れろ、この雑誌に出演俳優のインタビューを出せと無理難題を言ってくるのはよくあること。ですが、ある批評家に『こんなの観るくらいなら、本屋で立ち読みしてたほうがマシ』とまで酷評された『恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~』【3】の女性プロデューサーには心底、辟易させられました。

 この作品は本来、塚本高史さんが主演だったんですけど、製作中から彼女が三番手のEXILE・MAKIDAIさんにいたくご執心で、もうべタベタ。これに塚本さんサイドが激怒されて、作品に関わるスタッフ・キャストの足並みがそろわず、結果的に評価もボロボロ。その上、塚本さんサイドは、完成後のプロモーションにもほとんど協力してくれなくなったんです。

 で、宣伝マンがパブリシティに手を焼いていたら、今度は彼女のほうから『しょうがないから、私が雑誌やテレビに宣伝で出るわ』と言いだした。そんなに影響力があるわけでもないのに、セッティングには気を使わなくちゃいけないし、僕たちからすると完全にありがた迷惑なんですけど、彼女は『新聞なら読売か朝日にしてね』なんて平気で言うわけです。ちなみに、結局取材が取れたのは某女性向けポータルサイトのインタビューだけだったんですけど、そこでも彼女は『出るのはいいけど、メイクとスタイリストはちゃんとつけてね』と(苦笑)。しかも、そこまで要求しておきながら、最終的にはその取材自体を前日にいきなりドタキャン。理由を訊いたら『EXILEのイベントに行くから』とかって言うんですから、もうどうかしてますよ」

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