──10年代再注目のバンド下山。写真を撮ろうとするとゴミの前で髪を振り乱して躍り狂う彼らの行動に、編集部もすっかり翻弄された!?
(写真/オノツトム A/M)
『鳩山●紀夫の実孫候補で、2018年に非国民栄誉賞を受賞。その尿はカスピ海に溶けていく夕焼けより赤いといわれている』
公式プロフィールで自らをかように紹介するのは、4人組バンド「下山」のボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポー(以下、マヒトゥ)だ。
「なんだ?」と思って、公式プロフを見ると、ギターのイーグル・タカは「二十歳になるまで靴をはいたコトがなく」、ベースのカルロス・尾崎・サンタナの「奏でる低音は妊婦の胎教に好影響」、ドラムのシャーク・安江は「鮫の親子に育てられ、18歳で全身整形」と、プロフィールという概念を舐めきった言葉が並ぶ。
“サイコ・デリシャス・ハードポア”なるスタイルを標榜し、サイケ、ノイズ、ジャンク、ロックなどを内包した轟音ライブで地元・関西を中心にコアな支持を集めてきた下山。アルバムリリースやフジロックフェスティバル出演など怒涛の日々を乗り越え、活動してきた大阪から上京した。
冒頭で紹介した全力で狂ったプロフィールに加え、ライブのフライヤーにも「オシッコのんでよ石原さん」「感性の全裸きぼう」など過激な文面が並ぶ。楽曲のミックスからアルバムのアートワークまで自分たちで行う“正しいロッカー”らしいDIY精神もさることながら、彼らの魅力はその道のレジェンドと呼ばれるバンドにさえ物おじしない、反骨的な姿勢にこそある。ノータリンズ(遠藤ミチロウ参加)、非常階段とのスリーマンライブにはタイトルに『世代交代2012~臓物の大三角形』と下克上を叩きつける。今回のインタビュー中にも「坂本●一は売名行為の王様。鼻をへし折ってやりたい」と数々のミュージシャンの名前を挙げバッサリ。
ただ、若さに任せたビッグマウスで、評価を幻惑させているわけではないようだ。
「『関西出身』ってひとくくりにされるのが嫌だった。いま、一番の不満は“過小評価”されていること」(マヒトゥ)
オシリペンペンズなど、新世代バンドがひしめく大阪で、一定の地位を得た彼らだが、現状にはまったく満足していない様子。「下山=日本なんで、関東とか関西とか関係ないです」と言い切る。