映画業界はいま、戦争状態らしい! と誰かが言ったかどうかは知らないが、製作・配給会社各社は年々少なくなるパイをめぐって陣取り合戦を繰り広げている。ここでは、2012年年間累計興収上位10社の陣容を解明してみよう。狭まりゆく戦場で、覇者・東宝に一矢報いるのはどこなのか──?
※各社の数字は2012年年間興行収入累計(新文化通信社発表)。
(絵/都築潤)
■テレビ局大作も異色作も作る圧倒的王者
[東宝]741億円
12年は、東宝のドル箱たる『海猿』シリーズと『踊る大捜査線』シリーズそれぞれが最終作を迎え、70億円超と59億円超という堂々たる興行収入をたたき出し、盤石の1位を保った。そのほか、『テルマエ・ロマエ』も59億円に到達し、続編の製作が決定。アニメでは『おおかみこどもの雨と雪』が42億円と劇場アニメの中で2位につけている。日本映画製作者連盟が1月末に発表した12年度興行収入10億円超作品の全39作のうち26作を東宝が占めており(共同配給含む)、この独走態勢は当分揺るぎそうもない。
(絵/都築潤)
■アニメと特撮頼みで大丈夫?業界第2位
[東映]175億円
12年は東映創立60周年記念のアニバーサリーイヤーということで、11年末のラインナップ発表時には幹部陣がたいへんな意気込みを見せていたが、結局一番興行収入が良かったのは『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』の15.6億円。実写作品では、それぞれインディー系の雄として業界注目度の高い山下敦弘監督の『苦役列車』も熊切和嘉監督の『莫逆家族』も不発に終わり、手堅い吉永小百合主演作『北のカナリアたち』も14億円にとどまった。これでは東宝軍への追撃体制が整っているとはとても言えないだろう。