──12年に放送された『平清盛』は、一般には視聴率が低くとも、ドラマファンからは人気が高かったといわれている。が、実はもうひとつ、『清盛』が虜にした層があるのだ。それは、腐女子層。『清盛』にハマった社会学者の腐女子・金田淳子が、その魅力を大いに語る!
マロ眉+お歯黒姿も神々しかった山本耕史の藤原頼長。山本自身が演じた『新選組!』(04年)での土方歳三のイメージを塗り替えた。(番組HPより)
そもそも私は脳が二次元に最適化されており、三次元の人間を見分けることが苦手で普段はあまりドラマを見ないのですが、大河はちょくちょく見てました。なかでも『平清盛』は、BL的な意味でも大ヒットです。
世間の評価としては低視聴率で、「わかりづらい」「ついていけない」などと言われていましたが、そのわかりにくいシーンに対して「あれはなんだったのか?」と、『エヴァンゲリオン』のように視聴者が議論して盛り上がる要素が多分にありました。その意味で、深く考察することが好きな玄人層には届いたんじゃないかと思います。
また、全体的にセリフの量が少なめなのも特徴ですね。話している内容と表情が全然違うことも多く、その矛盾が何かを語っているシーンが多かった。これは精神科医の斎藤環さんが常々言っていることですが、例えばマンガは、同じコマ内にある文字も画も擬音も効果もすべてが同じ内容を示していることが多く、矛盾した表現はやりづらい。『清盛』はそうした二次元作品ではやりにくい、映像であるドラマならではのことをやろうとしている冒険が感じられました。