──一昔前には合法ドラッグと呼ばれていた脱法ドラッグ。その歴史を追いたい!
『あぶないハーブ』(三一書房)
70年代 抗精神薬(睡眠薬)のペンザリンが市販され、ダウン系ドラッグとして愛用された。これが合法ドラッグのルーツではないかという説がある。
87年8月 厚生省、薬物乱用防止を推進する「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーン開始。
90年 アメリカの国立がん研究所で、食品によるがん予防を研究する「デザイナーフーズ計画("designer foods" project)」開始。95年まで。「生活習慣病は病院では治せない。ミネラルやビタミンなど微量栄養素をとることが大事で、食こそが薬になる」(「朝日新聞」00年1月7日朝刊)という信念の下、はじまった。ちなみに、日本のオリジン弁当はこの考えに注目し、99年に研究機関をつくっている。
4月 「宝島」4月9日号で健康食品「スナッフィ」を取り上げた記事「気軽にトリップできる“合法ドラッグ”(!?)」掲載。メディア上に「合法ドラッグ」が登場した例としてかなり早い。
12月 「週刊ポスト」12月14日号に、記事「とうとう日本に上陸した『合法ドラッグ』デザイナーフーズの“マリファナ的覚醒効果”にうつつを抜かす『ファジーな若者たち』」掲載。記事によれば、デザイナーフーズを初めて日本に紹介したのは、日大芸術学部専任講師・武村光裕氏。「全く新しいアプローチから出てきたアメリカの栄養食品です。ダーク・ピアソンとサンディ・ショーという2人の女性科学者が、特定の効果を狙ってビタミンやミネラルなど適切な栄養素を適切に組み合わせるなど、その配合をデザインし直したものをいいます」。「ライズ&シャイン」や「ブラスト」といったフェニルアラニンとカフェインやビタミンを組み合わせた栄養食品を紹介。
91年 この年より、米国グローバル・ワールド・メディア社が「ハーバル・エクスタシー」販売開始。取締対象外の材料だけで配合した合法ドラッグで、世界17カ国で売られる大ヒット商品となった。
9月 米国で自主出版本『PiHKAL: A Chemical Love Story』が出版される。恋愛小説風のドラッグ体験談と化学式解説が載った一冊で、合成ドラッグの元ネタ本として重宝された。05年までに4万1000部を売った。 また、厚生省が特定保健用食品制度(通称トクホ)施行。「サプリメント」ブームの下地となる。
92年11月 青山正明『危ない薬』(データハウス)。非合法ドラッグのガイド本だが、合法ドラッグに関する記述も多い。
93年2月 『別冊宝島173 気持ちいいクスリ』(宝島社)。合法ドラッグらしき記述あり。
6月 資生堂「ファインライス」がトクホ第1号製品として誕生。
94年6月 『頭のよくなる薬スマート・ドラッグ 学習・知的能力・記憶力・集中力を高める薬のマニュアル』(第三書館)翻訳版刊行。ケミカルな合法ドラッグを個人輸入する方法が、わかりやすく書かれていた。