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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第32回

「PLANETS」vol.8 12月25日発売

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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「PLANETS vol.8」

 約7年前からずっと自費出版している批評誌「PLANETS」の最新号(vol・8)が、この25日に発売になる。副題は「僕たちは夜の世界に生きている」で、特集のテーマは「情報社会」と「日本的想像力」だ。

 なぜ今「情報社会」と「日本的想像力」について考えるのか。その答えは明白だ。僕たちはこの2つこそが、日本の、そして世界の未来をつくると信じているからだ。

 僕は今34歳だが、思春期から現在に至る時間のすべてを「失われた20年」と呼ばれる暗闇の中で生きてきた。戦後の奇跡の復興物語はバブル経済で頂点を迎え、その崩壊後は経済に限らず、この国のありとあらゆるシステムがその耐用年数を過ぎてエラーを起こし、機能しなくなっていった。この国は、いわば社会の基本となるOSがアップデートされないまま放置されている状態にある。したがって僕たちは、グローバル化時代に適応したポスト戦後的社会システムを構築し直さねばならない。

 そしてそのための手がかりは、すでにこの日本社会の内部にあふれている、と僕たちは考えている。僕の盟友である社会学者の濱野智史は、「その『希望』は『市民社会』(政治)や『ものづくり』(経済)といった〈昼の世界〉には存在しない。少なくともこれまでは社会的には日の目を見ることのなかった〈夜の世界〉――この20年で奇形的な発展を見せたサブカルチャーやインターネットの世界にこそ存在する」と言う。

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