『どっこい人生』(サイゾー)
――1999年の創刊以来、芸能界から政財界、ヤクザにIT業界まで、各業界のウラ側を見てきた「サイゾー」。巷間騒がれる小誌の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい! そんな思いから、「サイゾー」を愛読している物好きな(失敬!)有名人からおなじみの識者の方々に、「サイゾー」でしか読めないオススメ記事を選んでもらう『あの有名人&識者が選ぶサイゾーレコメンド!』企画。その番外編として、今回は「サイゾー」編集部員が、「サイゾーpremium」でのオススメ記事を選んでみました! スポーツ記事を中心に手がける編集が選ぶ、「Number」では読めないスポーツ記事をお楽しみください!!
わたしはつくづくスポーツ選手が好きなんだなと思う。その理由は明快で、彼らが「どうかしている」から。「どうかしている」とは、つまり、「どうかしちゃっている」ことである。野暮を承知で単刀直入に言ってしまえば、常軌を逸していること。とくにスポーツの世界では、上に行けば行くほど、「どうかしている度」はより高まってくる。
たとえば、この顔は明らかに「どうかしている」だろう。
◎『清原和博独白!! 「ピアスに込めた怒りと巨人の裏切り、そして伊良部の死」』
(2011年10月号「特別インタビュー」より)
「どうかしてなきゃ」、こんな顔は絶対に“生まれない”。そして、わたしはこの顔にヤラれるのだ。真っ黒い清原が夢に出てきて、うなされる。寝覚めが悪い。でも、ふと気がつくとこのページの清原の顔を眺めているのである。そしてまた今晩も清原がわたしの眠りを邪魔するのである。
それから、この顔もそうとうヤバい。
◎『国民的アイドルからオートレーサーになった男・森且行、12年目の告白』
(2008年5月号より)
SMAPから一転、オートレーサーへの転身。女性ファンにワーキャー言われる世界から、ねずみ色のジャンパーを着て“イイ顔”をした西川口のおっさんに怒号を浴びせられる世界へのくら替えである。
このインタビュー、実はわたしも立ち会ったのだが、森氏からみなぎってくる「生き死に」のたたずまいに耐えきれず、取材後、駅のトイレで吐いてしまった。「生き死に」でものを考え、「生き死に」の問題としてアスリートでありつづけることは、やはり「どうかしている」にちがいない。(ちなみにこのインタビューが掲載されたサイゾーの表紙(右画像)の件もあいまって、各方面からお叱りを受けたことが懐かしい)
最後に挙げたいのはサイゾーの名物連載だった「高橋満矢(元栃桜)のどっこい人生」。2003年から2012年まで長期連載され、『どっこい人生』(サイゾー刊)として一冊の本となっている。
八百長だなんだと角界が数年前に揺れ動いたが、「どっこい人生」を読むと、そんなことがちっぽけに思えてくる。というか、不祥事がどうのこうのと世間は相撲を叩くけれども、そんなことはまったくどうでもいいことにすぎないのだ。栃桜こと高橋満矢氏は、現役時代からキャバレー社長になり、相撲そっちのけで日本屈指のその筋の大親分の付き人になるなど、そうとう「どうかしている」。しかもそれを堂々と真正面から言い放つ度胸。しかも本人にとっては、それはきわめて当たり前のことなのである。
以上、僭越ながらサイゾーのスポーツ関連の「どうかしている」記事・連載を挙げさせていただいた。
最後にひとつ。本来、スポーツは狂気の世界。狂気を秘めていなければ、スポーツ選手ではない。近頃のスポーツ全般は狂気に満ちているか? と言われれば少し寂しい気もする。わたしは、もっとキ●ガイ沙汰のスポーツを見たいし、それを記事として取り上げ、編集したい。わたしはいつもそういう味わいのものを求めているし、サイゾーが求められているポジションも「“どうかしている”雑誌」だろうと勝手ながら思っている。。
(文/編集部)