[宗教学者/作家]
島田裕巳(しまだ・ひろみ)
1953年生まれ。宗教学者、作家。『結社が日本を強くする』(宝島社)、『オウム真理教事件』Ⅰ・Ⅱ(トランスビュー)、『キリスト教入門』(扶桑社新書)、『宗教はなぜ必要なのか』(集英社インターナショナル)など著書多数。
目が離せない団体【2】
『ダーリンは韓国人』統一教会
[注目の理由]
冷戦構造のもと反共主義の団体として誕生したために、冷戦終了後はその存在の根幹が揺らぎながらも、持ちこたえてきた統一教会。しかし今年9月に創立者・文鮮明が亡くなって以降、後継者争いが続き、このままでは弱体化するかもしれない。そこで巻き返しを図るために、今回の衆院選で生まれた新政党に近づく可能性が懸念される。
高度成長期に盛り上がった新宗教のブームが終わり、はっきりした救いよりもスピリチュアルのような「癒やし」を求める風潮が台頭してきています。以前のように年中集まり、勉強会をしたり、修行したりするタイプの宗教は流行らなくなっているといえるでしょう。震災以降、大幅に信者を増やした宗教もありませんし、このトレンドはこのまま当分続くものと捉えています。
そういった時代の流れを敏感に察知した新宗教としては、真如苑が挙げられます。真如苑は全人格的なコミットを信者に求めない。実際に、東京の立川市にある施設に足を運んでみると、宗教施設というよりは、病院に近い日常的な雰囲気が漂っていました。信者が個別に部屋に案内され、癒やしを得ているというような感じです。時代のニーズにマッチしているので、真如苑はこれからも一定の支持を得ると思いますが、社会に何かを働きかけるという志向がまったくないので、「注目すべき宗教」ではないと思います。もともとが山伏の修験道から発祥しており、宗教と呼べるかどうかも微妙な団体ですから。