サイゾーpremium  > 特集2  > 【リクルート】上場の"暗雲"と"胸算用"
第2特集
リクルート上場に立ち込める暗雲【1】

株式公開にメリットなし!? 時価総額1兆円以上のリクルート上場の”暗雲”と”胸算用”

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 2013年4月の株式上場に向けて、今年の10月1日付で組織の再編を行い、持ち株会社「リクルートホールディングス」を設立したリクルート社。今や就職活動には欠かせないツールとなった「リクナビ」をはじめ、その名を知らない社会人はいないだろう。しかし、「営業がきつい」「優秀な人材輩出会社」「フリーペーパー」といった定番のイメージはあるものの、イマイチその実態はつかみきれない。同社の上場は、果たして組織に、世の中に、どんな影響を与えるのか――その功罪を検証していきたい。

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『Hot Pepperミラクル・ストーリー』(東洋経済新報社)

 一説には「株価は最高で2万円台、時価総額は1兆円以上」――2013年の夏にも東証1部に超大型の株式新規公開が実現するかもしれない。リクルートの上場だ。

 リクルートは江副浩正氏が60年に創業した自社媒体での広告・出版を手がける情報誌出版社。12年3月期の連結売上高は前期比7・2%増の8066億円、営業利益は27・1%増の1150億円。そして13年3月期は4期ぶりの連結売上高1兆円超えを狙う。この4月からは峰岸真澄新社長の新体制となり、10月1日には、会社分割により新グループ体制に移行。持ち株会社「リクルートホールディングス」の下に「リクルートキャリア」「リクルートジョブズ」などの7事業会社とアドミニストレーション(管理)機能などの3機能会社がぶら下がる形でリクルートグループを再編、上場へ着々と準備を進めている格好だ。

 上場はリクルート上層部にとっても悲願ともいうべきものだ。88年、グループの不動産会社・リクルートコスモス(現・コスモスイニシア)の未公開株が大物政治家に譲渡され、政官界を揺るがす一大スキャンダルに発展した「リクルート事件」以来同社は、世間から後ろ指を指されるようなイメージが色濃く残っている。

 リクルート事件後、バブル崩壊で業績はさらに悪化。不動産などへの投資が単体の負債として約1兆4000億円にも積み上がり、92年には大手スーパー、ダイエーの傘下入りを余儀なくされた。その後は大リストラとサービスの多様化が功を奏し、急成長を遂げた。単体の有利子負債を07年3月期にはわずか51億円にまで減らしたほどだ。それから5年、上場は20年越しで汚名を返上できるチャンスなのだ。

 しかしこの上場には、リクルート関係者から怨嗟の声が挙がる。

「『10年度までに連結売上高1兆円』という中期目標を掲げ、07年末に派遣業界最大手のスタッフサービス・ホールディングスを約1700億円で買収し、一躍首位に立ったものの、08年のリーマン・ショック後の不景気と派遣業界の規制強化で再び経営悪化。最近もグループ全従業員の4分の1にあたる6000人が退社を余儀なくされた大リストラをしてきた。リクルート本社だけ見ても88年12月期には6694人だった従業員数(契約社員やアルバイト含む)は、5974人にまで減っているほどです」(リクルートOB)

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