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第1特集
専門マンガ誌編集者がセレクトするオキテ破りのBL【3】

1冊まるごとケンタウロス! 作者の愛があふれる超異色作――「onBLUE」編集部・梶川恵さん

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「onBLUE」
発行/祥伝社 創刊/2010年 発行ペース/季刊
ヤマシタトモコ、雲田はるこ、山中ヒコといった、一般誌でも人気を博している作家たちを集めたアンソロジーコミックス。絵柄がおしゃれな作品が多い。


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【5】『equus』より。全8編のうち後半3編は、富豪の家に囚われていたケンタウロスの物語が展開される。端正な絵だけど、馬。

 今回挙げさせていただくのは、手前味噌ですが、小社から出ている“えすとえむ”さんの『equus』【5】です。内容は全編、ケンタウロスがテーマのボーイズラブ。ケンタウロスといえばギリシャ神話に出てくる、上半身が人間で下半身が馬の種族ですが、現代の大学生になっていたり中世の西洋社会にいたり、日本の武家社会にいたりと、彼らが社会に入り込んでいるファンタジーで、ケンタウロス同士の恋愛や、人間との恋愛や交流を描いています。

 作者のえすとえむさんがケンタウロスをものすごく好きで、この作品はもともと彼女が描きたくて仕方なくて同人誌で発表していたものなんです。それに描きおろしを1本加えて、単行本化させてもらいました。普通、商業誌で発表するときは編集者がネームをチェックするものですが、本作はすべてケンタウロスを愛してやまない著者のみの調査力と、多忙な執筆スケジュールを縫っての熱意で生み出された作品です。

 BLでいえば、もともと同人誌では人外もの【註:獣や半獣人など、人間でないキャラクター】はありましたし、相当古い単行本からくまなく見ていけば、擬人化ものや獣姦のようなものは短編集に含まれていたりすると思うんですが、1冊まるごと、こんなに耽美な絵で装丁も作り込んでやったのは、この本が初めてのはず。その点がオキテ破りといえるでしょう。森の中でケンタウロス×ケンタウロス×人間で3Pをするお話が収録されていますが、それ以外は強烈なエロシーンもないので、男性にとってもファンタジーとして面白く読めるかもしれません。読者の方の反応も、「感動した」「美しい物語でお伽話みたい」というものから、「感動と笑いの渦でした」というようなものもありました。車と併走する“半分馬”の登場人物が出てくるって、インパクトは強いですよね(笑)。

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