──あんなニュースやこんなニュースの裏側を知りたければ、まずはその当事者に直接聞いたほうが早いはず。というわけで、あんな話からこんな話まで、内部の人間だからこそ語れる激ヤバトークをコッソリご開帳いたします!
【今月のギョーカイ人】コンビニオーナー
不況の中にあって毎年売り上げが前年比を越え、伸び続けてきたコンビニ業界。だが、ここにきて多くのチェーンで既存店の売り上げが前年割れするなどその成長にかげりがみえているという。また以前、セブン-イレブンでは本部による加盟店への厳しい締め付けの実態が問題となったが、その後もそうした状況は改善されていない様子だ。加盟店オーナーたちの苦しい経営の上に成り立つコンビニの実態を聞いた。
【座談会参加者】
A…某チェーンの本部社員
B…セブン-イレブン加盟店オーナー
C…ローソン加盟店オーナー
2011年のコンビニ売上高(兆円)。
──グループの売り上げでいえば、セブン-イレブン(以下、セブン)のひとり勝ちが続いていますが、加盟店のオーナーさんの状況はどうなんでしょう?
A セブンで「儲からない」とオーナーがぼやいてる店でも、ファミマとかローソンでそこそこ儲けている店の売り上げ額と同じくらいだったりして、数字の比較値が違うから、セブンのオーナーさんと話が噛み合わないことはあるな(笑)。
B セブンでも、全店舗の2割ぐらいの店は儲かっていると思います。あとは6割ぐらいがまあまあ経営が成り立つくらいの儲けが出ていて、残りの2割はもうどうしようもなさすぎて声も出ないという状態ですよ。
C それでもセブンでは、8割ぐらいは経営が成り立っているんだ……うらやましいですね。
B ただ、その成り立ち方にもいろいろ問題があって、例えば長期で働くバイトくんの健康保険などの社会保障なんかをきちんと払わずに成り立っている、みたいなのが大半。バイトやパートの社会保障は、勤続年数などの条件が複雑なのであいまいなまま。ちゃんとやると、8割は成り立たなくなるんじゃないかな。
──ユニオン(コンビニ加盟店ユニオン:本部との対等な契約を求めて09年8月に結成された、コンビニ加盟店オーナーの労働組合)に加盟している店舗のオーナーでも、バイトの待遇が悪いんですか?
B そう。本部に契約状況の改善を主張しても「じゃあおまえらはバイトくんに何やってんだよ」って言われたら何も言えないよね。コンビニ本部に対する争議(写真参照)では、チャージ(コンビニ加盟店が本部に支払うロイヤルティ)の比率の高さばかり話題になるけど、僕はそれを下げろとは思っていない。ただ現状の契約だと、まず売り上げからチャージ分を持っていかれて、その残りから人件費とか商品廃棄みたいな経費の負担をしているから成り立たないんです。まず売り上げから経費を引いて、その後でチャージを本部に払うようにすれば、どの店も成り立つはずなんですよ。
A まあ本部は納得しないでしょう。売り上げにおけるチャージの契約を変えると、今までほど本部も儲からなくなるわけだからね。ただ、もともとアメリカのセブンでは、チャージはちゃんと売り上げから諸経費を差し引いた額の残りから支払えばよかった。それを日本に最初に持ってきた時に、都合よくアレンジしちゃった。
C コンビニの特殊会計では、加盟店に仕入をさせ、人件費の増加を無視して業務を増やすほどに本部は儲かる仕組みになっている。こうした部分で本部と加盟店とが認識を共にすれば、もっと可能性のある業界になると思いますよ。