雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。
『クイーン・オブ・ベルサイユ』
億万長者であるシーゲル夫妻は、ベルサイユ風の宮殿を建設するなど、この世の贅を尽くした生活を送っていた。2008年のリーマンショックが起きるまでは……。セレブの栄枯盛衰を映し出したドキュメンタリー。
監督/ローレン・グリーンフィールド 出演/デヴィッド・シーゲル、ジャッキー・シーゲルほか 日本での公開は未定
「広いお部屋ですねー」
これから内装する4LDKほどの部屋に案内された男は言った。
「奥さんのお部屋ですか?」
「まさか」
ジャッキー・シーゲルは笑った。
「ここはクローゼットのひとつよ」
フロリダの高級住宅地に建設中の2600坪の豪邸、というより城。総工費300億円。完成したら13の寝室に9つのキッチン、30のバスルーム。2つの映画館。地下にはボウリング場やスケート場も。あまりに広いので、移動はセグウェイで。
そして外観は、フランスのベルサイユ宮殿を模している。映画『クイーン・オブ・ベルサイユ』は、フロリダにベルサイユ宮殿を建てようとした大富豪デヴィッド・シーゲルと、その妻ジャッキーを、4年にわたって追い続けたドキュメンタリーだ。