――奔放な下半身事情や赤裸々な異性関係まで、出版されるたびに話題になる芸能人の暴露本。こうした出版の裏では、どのような“力”が働いているのだろうか?最新作から歴史的暴露本まで、業界を熟知する関係者が、アノ話を語り尽くす──。
[座談会参加者]
A… 芸能評論家
B… 中堅芸能リポーター
C… 大手出版社編集者
『酒井法子隠された素顔』(イースト・プレス)
──芸能人の書いた本はたくさんありますが、今回は普通のタレント本とは一線を画す、いわゆる「暴露本」「告白本」について話を伺いたいと思います。出版の裏側で何が起きていたのか、どんな影響があったのか。まず最近だと、長谷川理恵が出した『願力』【1】が話題になっていますね。
A 結婚に合わせて出版しただけあって、本人は自叙伝に近いイメージなんだろうけど、これって完全な暴露本(笑)。長谷川の場合、もともとタレントとしてのヒキは弱くて、恋愛を売りにしてきたわけだし、出るべくして出たといえる本だ。
B それにしても、実業家であるダンナさんの話はともかく、過去に付き合っていた男たちの記述なんか、よほど恨みがあったとしか思えない。実名は書いてないけど明らかに神田正輝や石田純一とのことだし、このへんの空気の読めなさが世間から嫌われる要因なんだろうね。
C 神田も石田も、この本に関しては大人の対応に終始している。別れた時点で、こうなることはわかってたんだろう(笑)。まあ、石原軍団のスタッフは激怒していたけどね。
B 長谷川としてはこの本を出すことで過去のイメージに区切りをつけて、次のステップに移るきっかけにしたかったんだけど、不倫バッシングやマラソンにハマるエピソードなど、書かれている過去の話がひどすぎてファンまでドン引きさせてしまった。暴露本は「自分をさらけ出した」と評価される半面、反発も食いやすいけど、ここまで嫌われるケースも珍しい。
A 長谷川の本が商売上の理由で出されたものだとすれば、必要に迫られて書かれたのが酒井法子の『贖罪』【2】。言うまでもなく、覚せい剤で逮捕されたのりピーが、芸能界復帰に向けて書いた「反省文」ってところだね。
B ただ、この本が出るまでの間に、すでに山ほど報道がされていたし、便乗本も『孤独なうさぎ』(双葉社)など3冊も出ていたから、新鮮味はなかった。もちろん本人の言葉は重要なんだけど、「覚せい剤は旦那のせい、逃亡や黙秘は子どものため」という言い訳に終始する内容では、世間の共感を得られたとは思えない。