芸能界から会社員その転身の裏側
反原発の活動に深く関わったために芸能界で厄介者扱いされ、事務所を飛び出し、芸能活動での収入が10分の1にまで激減していたという山本太郎。太陽光発電関連企業に就職することで安定的な収入を目指すという話だったが──その会社をわずか3カ月で退社したことが判明。それでもウハウハな雇い主の胸中とは?
アイデアマンの、36歳の清水社長。“使えぬ”社員を雇って、ウハウハな経営者も珍しい!?
4月、「反原発の闘士」として知られる俳優の山本太郎が、太陽光発電の施工事業を展開する企業「ソーラーリフォーム」 に入社するというニュースが話題になった。
ところが、一部で既報の通り、山本は7月17日付でソーラー社を辞めていた。その間、たったの3カ月。「サラリーマン 山本太郎」の入社と退社の舞台裏には何があったのか?山本を雇用したソーラーリフォームの清水勇介社長が、山本退社後、初めて取材に応じた。
「もともと弊社のグループは、訪問販売で太陽光発電の施工を請け負っていたのですが、今後はネットを活用した販売が主流になる時代が来るだろうと考え、廉価販売を売りにしたネット事業を始めるタイミングをうかがっていました。ちょうどその時に知人の紹介で山本さんと知り合って会食をしたのです。山本さんは、相当仕事が減っているとのことでした。弊社は脱原発というスタンスではないのですが、自然エネルギーを広めるという点では考え方が一致している。それで『一緒に何かできたら面白いですよね』という話になったのです」
清水社長は、今年1月にグループ会社のひとつとして太陽光発電システムをネット販売するソーラーリフォームを設立。そのPRのために山本が就職するという計画が始まった。
『山本太郎』
1974年生まれ。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」出場で人気となり、芸能界入り。福島原発事故をきっかけに、反原発活動に傾倒し、本業以外で注目を浴びる。
PRとして、タレントを1日店長に据えたり、イメージキャラクターに起用することは多くの企業もやってきたが、話題性のあるタレントを社員として迎えるというのは稀有な試みだ。案の定、4月18日に行われた入社式【1】の模様は、多くのマスコミが報じた。
「山本さんは営業部の配属でした。契約書の書き方や営業トークを学んだり、他部署の仕事をローテーションで回ったりと、新入社員と同じことをしてもらいました。ただ、忙しい人ですから、この3カ月は研修だけで終わってしまいました(苦笑)」(清水社長)
ソーラー社は山本と業務委託契約を結んだのだが、法律上、契約期間は定めなければいけない。
「私は何カ月でもよかったのですが、テレビ業界では、基本的にワンクール3カ月単位で仕事が回っているから、『まずは3カ月契約』をということだったんです。こちらは、その後も継続したい意向はありましたが、契約期間が満了する前に、彼から『本業(芸能界)の仕事が増えたので、力になれない』という申し出がありました」(同)
当初、「社員」として、週5日の出勤予定と報じられていたが、実際に出勤できたのは3カ月で10日ほど。それでいて、待遇は、幹部社員と同程度だったというのだから、営業スタッフとしては破格な人件費だ。しかし、狙い通り、宣伝効果はすさまじいものがあったという。