──審判のプロ化が急がれていることは特集【1】ですでに述べたが、では、プロ審判の待遇やその道のりはどのようになっているのか。日本でもプロ審判制度がある、野球とサッカーを例に、審判の待遇を見てみよう。
『サムライ審判』(アスペクト)
まずは、五輪競技でもあるサッカー。日本の場合、プロリーグとしてJリーグがあるのだが、実はプロ審判は現在13名のみで、試合を裁いているのは多くのアマチュア審判だ。日本でそのサッカー審判になるためには、日本サッカー協会(JFA)公認の審判員試験と講習を受ける必要がある。サッカー審判は1~4級にランク付けされており、下位の資格を取得していることが昇格の前提。1級は日本サッカー協会、2級は全国9つの各地域のサッカー協会、3~4級は各都道府県のサッカー協会が試験・講習会を行っており、4級は主に筆記試験のみ(地域によっては体力テストがある)で、資格取得に必要な費用は5000円程度と比較的資格を取りやすい。そこから一定の実績(4級で19試合以上※主審を半数以上経験)を積んだ審判が筆記・体力・実技テストによって3級へと昇格する。2級になるには試験のほか、3級取得後2年以上で、一定の実績を積み、各都道府県サッカー協会の推薦が必要。そして、1級は2級取得後2年以上で、実績のある34歳以下、各地域サッカー協会の推薦が必要と条件も厳しくなる。ただ、1級になるとJリーグの試合をジャッジできるようになり、1試合につきJ1主審12万円、副審6万円、J2主審6万円、副審3万円の報酬を得ることができる。この1級審判として十分な実績を積んだ審判のみが、ようやくプロ審判(JFAではプロフェッショナルレフェリーと呼ぶ(としてJFAと契約できるようになる。待遇は公開されてはいないが、1年契約の年俸制(固定給に出場給がプラスされる)で、トップクラスになると2000~3000万円ほどだといわれている。