サイゾーpremium  > 特集2  > 【海猫沢めろん】が選んだ自己啓発嫌いが読むべき本

──何事につけてもやはり食わず嫌いは良くないことである。「自己啓発本なんざ読む気がしないですわ」という読者諸兄に、一度くらいは読んでみてもらいたい──ということで、ネタ半分ガチ半分で自己啓発本を数多く読み込んできた作家・海猫沢めろん氏に、嫌いな人でも読める作品を挙げてもらった。

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海猫沢氏の著書『ニコニコ時給800円』

 僕が自己啓発本を読み始めたのは、勤めていた会社を辞めた頃から。最初のきっかけは単純なヒマつぶしで、今までかなりの数を読みましたね。まぁ僕は成功したいわけじゃないし、「俺を論破してみやがれ!」って気持ちで読み始めるから、かなり変わった読者ではあると思うんですが。

 それでまず言いたいのは、起業家の成功ヒストリーには本当にウンザリってこと。宝くじのような体験談ばかりだから自分に当てはめられないし、みんな上から目線でムカつくんですよ(笑)。目新しさがないクセに説教臭いし、読む価値のない本ばかり。実体験を語るタイプは、その著者を信じられるかどうかで決まるわけで、もし信じるに値する著者に巡り会ったら、とことん信者になればいい。でも宗教と同じように、信じるものがある人は幸せ。それが見つからないから、みんな悩むんです。しかも自己啓発本って何十年も昔からほとんど更新されてなくて、似た内容ばかりなんです。少し中身を見ただけで「あ、あのパターンか」ってわかっちゃう。だから僕は普段から「実践できるか」と「独自性があるか」で選ぶようにしてますね。

「実践」のパターンでオススメしたいのは、勝間和代さんが翻訳をした『史上最強の人生戦略マニュアル』【1】ですね。これは人生で直面するさまざまな問題の解決法が示されていて、しかも書き込み式なので、気づくと自己分析もできてしまう。誰でも簡単にできるし、全米でベストセラーになったのも納得です。本を読み慣れていない人や、自己啓発本が嫌いな人にまず読んでほしい一冊ですね。

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