──株価が1000円を割り、リストラも行われるなど、昨今のソニーの動向は社員にも少なくない影響を及ぼしている。では、そんな同社の状況や、同社の行く末を、現役の社員たちはどう見ているのだろうか? ソニー愛を抱えつつも、ふがいない状況に不満を抱く社員の皆さんにご参加いただき、匿名座談会を実施。社員から見える景色を聞くと、マスコミでは語られないソニーの本当の姿が見えてきた!?
【座談会参加者】
A…入社20年目/マーケティング職
B…入社18年目/営業職
C…入社6年目/営業職
『ソニーのふり見て、我がふり直せ。』(ソル・メディア)
特集【3】では、「週刊東洋経済」など、多くの雑誌で大々的に組まれているソニー特集の比較をしたが、もの足りないのは、内容が経営や企画開発などの問題に終始し、社員の本音がなかなか聞こえてこないこと。実際に働く社員たちは、報道と実態の温度差をどのように感じているのか。現役社員3人に匿名で話を聞いた。
──今回の人事で新社長に抜てきされた平井一夫氏は、子会社(SCEグループ)出身者であることから、社内での影響力が不安視されているようですが……。
A 新社長は、相変わらずのソフト路線。経営方針が、これまでの「製品の高性能推し」を踏襲するものしか出ていないね。
B 交代したばかりだし、変わったことは何もないですね。(ハワード)ストリンガー前社長よりは日本経済や企業のことをわかっていると思いますが、平井さんには社長の力量はなくて、単に英語ができる人という印象です。以前からメディアでは、「平井さんを含む4人が“四銃士”次期社長候補」なんて書かれてましたが、社内ではそんな話聞いたことなかった(笑)。もっとも、平井さんが“来るだろう”とは言われていたようだけど。
A まぁ平井さんはつなぎでしかなく、次の社長がポイントになるだろう、とは誰もが思っていることだろうね。
──各雑誌のソニー特集では、今のソニーは革新的な製品を生み出せなくなっている、などといわれています。これらに対してはどう思われますか?
A 昔ならウォークマン、最近では薄型テレビなど、良くも悪くも目立つところの話しか出ないよね。
B どの雑誌も一口に「テレビがダメだからソニーはダメ」と言うけど、例えばBtoBで売れてる商材のシェアなんかはまるで無視しているのはどうかと思いますね。
C 有機ELディスプレイなんかも、実際に見たらビックリするぐらい画質が違うので、「こんなに高い技術があるんだ」って思うほどです。ただ、それを一般消費者が求めているかというと……。
B そこなんだよね。技術を持て余している。
A かつて、ハイビジョンテレビの映像を初めて見たときはビックリした。これが未来かと思ったものです。でも、今テレビで素晴らしい画質の映像を見ても、あんまりワクワクしないでしょう。AV機器よりも(ソニーが製造開発を行っていない)白物家電のほうが、夢がある。
──もしソニーが、今また白物家電を出したら、それはそれでかっこいいものができそうですが。
B それはブランドイメージが結びつかないから、やらないでしょう。消費者も新鮮味は感じても、長くは使わないんじゃないでしょうか。
──他雑誌の特集では絶対ツッコまれていないところですが、例えば「ソニータイマー」(購入すると一定期間で壊れるという都市伝説)って社員の方はどう思われてるんですか?
B それ、社内では禁句です。というか、冗談でしかない。