──概論でも触れた通り、国内製造業では過去最大級の赤字を発表したパナソニック。韓国メーカーに押される今、日本を代表するメーカーの凋落に、打つ手はあるのだろうか。ここでは、同社が満を持して取り組むソリューション事業の可能性と、詰めの甘さが招いた思わぬ落とし穴について、検証していきたい──。
(絵/magma giants)
【POINT 01】街まるごとエナジーソリューション
まずはスマートグリッド(次世代電力網)を整備して、各家庭に家電製品を制御するHEMS(ホーム・エナジー・マネージメント・システム)を設置、電気自動車の導入に再生可能エネルギーの利用と、街全体で、無駄なくエネルギーを使えるようにしてくれるそう。「省エネ」「創エネ」「畜エネ」機器の導入に、電球はみんなLEDでクリーンな街づくり。夢みたい。
【POINT 02】家まるごとソリューション
パナソニックは、いくら売れなくなったといえど、テレビにエアコン、お風呂にトイレ、インターホンまで! 家電という家電を網羅している電機メーカーだ。そこに、電工の住宅建材でパナホームが住宅を用意し、全部一括で売っていこう、というのが第1の目的だろう。さらには、すべての住宅に太陽光パネルを設置し、エネルギーを作ったりなんかもするらしい。
まるごと事業とは?
[Panasonic's Comprehensive Solutions]
地域環境への負荷を抑えて、エネルギーマネージメントの効率を高めることで、世代を問わず住みやすい街づくりを行う……それが、サスティナブルでスマートな街なのさ! と、理想ばかりを掲げるソリューション事業のこと。太陽光パネルやリチウムイオン電池、商業用ショーケースなどの重機がウリの三洋電機と、住宅建材・照明技術を持っていたパナソニック電工を買ってしまったので、家電は一式揃えられることだし、全部パッケージ化して売りますよ!と思い立ったよう。今年1月にはパナソニック株式会社エコソリューションズ社にスタッフが100人を超える規模の「まるごとソリューションズ本部」を設置。100億円規模の投資も行った。