──先の見えないテレビ不況の中、各局が報道番組における女子アナの起用をめぐって試行錯誤を続けていることは当特集【1】で述べた通りだが、その一方で、視聴者が報道番組や女子アナに向ける目も変わってきている。メディア文化論を専攻する法政大学社会学部の稲増龍夫教授は次のように指摘する。
『原色美人キャスター大図鑑』(文藝春秋)
「テレビが重要なポジションを占めていた時代には、誰しも報道番組に対して関心を払い、そこで活躍する女子アナを特別視する意識を相応に持っていました。しかし、ネット時代になったことでそうした風潮はなくなりました。マスメディアの“偉そう”な側面を嫌う人が増えただけでなく、報道番組における女子アナという存在を、なんら特別でない“普通”なものととらえるようになったのです」
テレビ局側も当然、そうした変化に合わせて報道番組の制作の方針を決定、転換している。その最たるものが、前ページで論じた女子アナの起用方針というわけだ。
しかし、果たして女子アナは、報道番組の質や内容、あるいは視聴者の動向に対して、局側が期待するほどの大きな影響を及ぼし得る存在なのだろうか?
結論からいえば、答えは「イエス」だ。詳しくは特集【3】の「ニュース番組“女子アナ偏差値”ランキング」で解説するが、女子アナたちは、時に報道番組の優劣を決定づけるほどの能力と影響力とを発揮しているのである。