サイゾーpremium  > 特集  > IT  > 佐野眞一が語る【孫正義のうさんくささ】とカリスマ

――「週刊ポスト」(小学館)の連載時より大反響を得た、ソフトバンク・孫正義の評伝『あんぽん』(同)。ノンフィクション不毛の時代といわれる中、版を重ね、今や15万部を達成、現在も売れ続けているという。毀誉褒貶の渦の中、常に注目に晒される孫正義という人物に肉薄した同書の著者・佐野眞一氏に、“孫正義の本質”について聞いた──。

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佐野眞一氏。(写真/キム・チャニ)

──小学館の編集部によると、読者からは「孫正義を嫌っている人にこそ読んでほしい」という声が盛んに寄せられているそうです。佐野さんは、この『あんぽん』という本について、「孫正義のうさんくささの研究である」と記していますが、個人的には孫正義氏に対する世間のイメージだと考えています。

佐野 なぜ我々が孫正義にうさんくささを感じるかというと、それは成り上がりだからとか、在日だからというだけでは片づけられない。そういう成り上がりが、通信や国家の中枢に食い込もうとしているということもうさんくささの一要素だし、そのくせソフトバンクホークスが優勝すると子どものようにビールかけに興じるという、純粋無垢さゆえのうさんくささもある。しかし、特にひとつ挙げるとすると、“紙の本”という人類が数千年かけて築き上げてきたその営為をまったく尊重せず「紙の本は30年後には消滅する」と言ってのける、そこにあいつのうさんくささがあるといえるかもしれない。その過剰な未来信奉は、逆に言えば、彼が在日3世として、いかに悲しい歴史を背負ってきたか、ということの裏返しかもしれないわけだけど。

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