エポックメーキングなニュースとして世の中を騒がせた代表的な"発禁本"を紹介しよう。猥褻表現、プライバシー侵害、名誉毀損......出版に"待った"が掛かった理由はさまざまだ。
『秘蔵版 発禁文学』(コスミック出版)。
出版したにもかかわらず、「これ以上、流布させてはいけない」との烙印を押され、姿を消していく本がある。いわゆる"発禁本"だ。一口に発禁本といっても、そのようになる理由はさまざまである。
まずは発禁になった理由が、作中に"露骨な性描写"などが含まれることから、猥褻物頒布といった容疑で摘発され、頒布や発売が禁止された代表例を見ていきたい。
戦後初めて摘発されたのが、1947年に創刊されたカストリ雑誌「猟奇」である。カストリ雑誌とは、粗悪な用紙を使い、エロ(性、風俗)グロ(猟奇、犯罪)を中心とした記事を掲載した大衆娯楽誌のこと。赤線などの色街探訪記事、猟奇事件記事、性生活告白記事、ポルノ小説などのほか、裸の女性の写真や挿絵などが掲載された、今でいう「アサヒ芸能」(徳間書店)や「週刊大衆」(双葉社)的なポジションの雑誌といっていいだろう。そんな同誌第2号に掲載されたポルノ小説の中の表現が違法と見なされ、猥褻物頒布罪で摘発、発禁処分にされている。