──かねてより"ロボット大国"とうたわれていた日本だが、震災後の福島第一原発に最初に投入されたロボットは日本のものではなかった。大々的にその技術力が世界に喧伝されていた日本のロボットは、なぜこの国難に真っ先に稼働しなかったのか? そこには、日本のロボット開発・研究の構造的問題点が存在するようだ。(本文中、太字は当特集【2】参照)
(写真/田中まこと)
2011年4月17日、福島第一原子力発電所の原子炉建屋内に、震災後初めて偵察用ロボットが投入された。ロボットの名は「Packbot」。お掃除ロボット「ルンバ」で知られるアメリカのロボットメーカー・アイロボット社の製品だ。
5月には日立建機の重機「ASTACO NEO」【1】がガレキ撤去に使われるなど、原発以外の復興支援では国産ロボットも活躍。その後、6月に入って千葉工業大学が中心となり開発した国産の調査ロボットである「Quince」【2】が福島第一原発内に投入されることとなるが、ホンダの「ASIMO」に象徴されるような"ロボット先進国"というイメージが強い日本のロボットが、海外産ロボットの後塵を拝したことに対して、メディアを中心に落胆の声が上がった。