1970年代に放送されていたアニメ『天才バカボン』では、ウナギイヌの声を担当していたという池水氏。
子どもたちの人気職業として近年上位にランクインし続けている「声優」。紅白に連続出場した水樹奈々を筆頭に、最近はタレント的な活動をする声優も多いが、実は労働環境や個人事業者としての権利という側面から見ると、芸能プロダクション所属のタレントのそれとは大きく異なる。その違いに大きく関係しているのが、「日本俳優連合(日俳連)」という事業者協同組合の存在だ。
日俳連は中小企業等協同組合法で認められている団体交渉権を持ち、組合員のためにテレビ局や制作会社と出演条件や安全対策等の団体協約を締結しているほか、過去にはデモやストライキを行い、声優の出演料を大幅に引き上げることに成功するなど労働組合のような性格も持ち合わせている。労働組合といえば、その組織率は現在、労働者全体の2割以下と低迷しているが、日俳連は声優業界で9割もの組織率を誇っており、その影響力は大きい。
なぜ声優業界には日俳連のような組織があるのか。今回、日俳連の専務理事で声優の池水通洋氏に話を聞くことができた。声優とプロダクションや制作会社との「労使関係」から見えてくる「理想と現実」、そしてタレントとの違いとは──。