「デフレと超円高」(講談社現代新書)。
「今の円高は日本経済に過酷な消耗戦を強いている」(11月1日付 日経新聞社説)「円高に打つべき手を打たなければ、日本経済はさらなる窮地に追い込まれる」(8月4日付 産経新聞主張)「円高が原因の倒産件数は、過去最悪のペースで増えている」(11月16日付 読売新聞社説)
こうした全国紙の報道に代表されるように、円高をめぐる報道には「デメリットを一方的に強調するものが目につく」(私立大学経済学部教授)という。
円高の功罪については、専門家の間でも議論が分かれるところであるが、今回、メディアにあふれる円高報道とその背景に焦点を当て、検証していくと、円高状態を長引かせたい財務省、日銀の思惑と、それに加担する新聞報道への疑問が浮かんできた。
例えば、円高のメリットを訴える双日研究所副所長・吉崎達彦氏は、「週刊SPA!」(扶桑社)9月27日号連載「ニュースディープスロート」で、「確かに製造業は悲鳴をあげている」と認めつつも、「円高=悪」という論調に対し、次のように反論する。